Tweet |
三菱重工業は八日、世界最大の航空宇宙メーカー、米ボーイング社と航空宇宙分野で包括提携することで基本合意したことを明らかにした。両社は人工衛星打ち上げロケットの共同開発・生産で協力するほか、次世代の超大型旅客機の開発や機体の整備ビジネスも共同で展開する。
日本の航空宇宙産業は、業界の育成を図る政府の意向もあり、ロケットの胴体やエンジンなど、部品ごとに各メーカーが分担して請け負って、生産していた。しかし、世界的な宇宙ビジネスや航空機産業の競争が激しくなる中、三菱重工は「このような非効率な生産体制では競争から脱落する」(首脳)と判断し、ボーイングと密接な関係を結ぶことにした。
業界最大手の三菱重工と国内メーカーの最大の顧客であるボーイングとの提携は、航空宇宙部門を今後の中核事業に位置づける造船重機各社に、戦略の根本的見直しを迫りそうだ。
提携内容は、ボーイングのロケットの開発・生産に三菱が参加し、費用も分担する。商用需要の急増が見込まれる画像や通信衛星の開発・生産面でも協力する。また、ボーイングが検討を進めている超大型旅客機「B747―400」も共同開発するほか、旅客機の保守サービスも分担する。詳細な提携内容については今後詰めることにしている。
ボーイングは、アジア市場への進出強化と巨額の開発リスクを低減する狙いがある。三菱重工は一部部品の下請け生産から脱却し、成長産業である航空宇宙分野への本格進出への足がかりにしたい考えだが、資本面での提携は当面視野に入れないとしている。
(4月8日11:32)