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回答先: 追補10:愛らぶゆウイルスWiredNews記事5月9〜10日 投稿者 佐藤雅彦 日時 2000 年 5 月 11 日 22:32:40:
「I Love You」で責められるべきは誰か
Charles Cooper, ZDNet/USA
Microsoftは思いきり頭を引っぱたかれるべきだ。それについては後述するが,ユーザーはほかならぬ自分自身を責めるべきだというのも事実だ。
フィリピンから広まったらしい「I Love You」ウイルス(フィリピン国家捜査局の「Killa from Manila」は本日のCute Headline of the Day賞を贈るにふさわしい)は,またしても「一度騙されるのは騙す方が悪い。二度騙されるのは騙された方が悪い」という格言の真実性を証明した。
驚いたという弁解はもう通用しない。1年以上も前に野火のように広まった「Melissa」によって,見知らぬ人から届いた添付ファイルはもちろんのこと,内容がわからない添付ファイルを開くことの危険性は身にしみていたはずだ。
少なくとも1週間くらいは。
この教訓は,世界中がI Love Youの対応に追われ始めるまで,記憶からきれいに消え去っていた。どこかの環境不適応の馬鹿者――ひょっとすると複数か?――が自己増殖する電子メールウイルスを使って,世界中のセキュリティ専門家の能力をテストすることにしたのだ。
まず最初の,最も有効な防衛手段は,今でも「常識」だ。だが,高い代償を支払って学んだ教訓を人は驚くほど簡単に忘れてしまう。
同僚が突然,色恋沙汰のような表題付きのメールを送ったら,受け取った相手は1,2回頭をかいてから,添付ファイルを開くだろうか。
そんなことはないだろう。そんな人のスコアはこうだ。
好き者:1
常識人:0
責めるべきはBill Gates氏
LinuxとMacのユーザーは,幸いなことにI Love Youの攻撃を心配する必要がない。I Love Youは,ユーザーのコンピュータ上でWindowsスクリプティングホストを利用して起動するからだ。
Microsoftが対応する必要があるのはこの点だ。
「ExplorZip」によってMicrosoftが,VBスクリプトを電子メールで実行することの危険性を認識したのは1年以上も前のはずだ。
Microsoftはこの件について完全に沈黙している。
Microsoftはいつも機能ばかりを強調する。だが,キッチンの流し台を除くあらゆるものの製品化に性急に取り組む中,同社はセキュリティについては犯罪的といっていいほど軽く扱ってきた。
今ここで,ユーザーとしてはもうたくさんだと宣言すべきだ。安全のために次の手順に従って6回クリックしよう。
▲設定
▲コントロールパネル
▲アプリケーションの追加と削除
▲Windowsファイル
▲アクセサリ
▲Windowsスクリプティングホストのチェックをはずす
極めて明白。田舎者のいとこでも即座に理解できる。
そう,これでいい。
電子メールがどこかの悪意を持ったサイバーオタクに操作されないようMicrosoftに求めるのは,行き過ぎでも何でもないと思う。
やっぱり出てきたかという関連の話題を1つ。こういうウイルス騒動が起きると必ずそこから漁夫の利を得ようという輩が出てくる。例えばHewlett-Packard(HP)。各社の記者宛てに,HPの製品マネジャーから馬鹿馬鹿しいメールが届いた。といっても,ジャーナリストに対する変わらぬ愛を告白したものではない。送られてきたのは「OpenMail」の恥知らずな売込文句。いわく「I Love Youによって,OpenMailが他のメッセージングおよびコラボレーションソリューションに比べてより柔軟でスケーラブルであることが再び実証されました」。この善良な人たちは,飛行船ヒンデンブルク号が爆発した1937年に飛行船ビジネスに携っていたなら,いったい何と言ったのだろう。