Tweet |
親イスラエルの民兵2000人行き場失う
http://www.asahi.com/0510/past/pinternational10015.html
イスラエル軍の撤退を約2カ月後に控えたレバノン南部で、親イスラエル民兵組
織、南レバノン軍(SLA)約2000人が行き場を失っている。イスラエル側
は、供与した武器の回収を始めるなどSLAの武装解除を目指しているが、亡命を
受け入れるかどうかは明言していない。レバノン政府は「国を裏切った組織」に厳
しい措置で臨む方針だ。同組織が武装解除しなければ、撤退後もレバノン領内で戦
闘が続くことが予想され、国連平和維持軍(PKF)の展開にとっても支障とな
る。
イスラエル軍撤退後の国連PKF展開に向け、先週関係国を訪問したラーセン国
連特使は、イスラエルに対し、SLAの武装解除がPKF展開の条件になると伝え
た。イスラエルは、戦車など重火器の撤収を開始。SLAは9日、一部拠点を放棄
するなど、厳しい立場に追い込まれている。
SLAは、レバノン内戦中にキリスト教マロン派のラハド現司令官ら政府軍兵士
が分離独立し、イスラエル占領地域に展開。武器の提供からメンバーの給与までイ
スラエル側から受け、レバノン側のシーア派武装組織ヒズボラとの戦闘の最前線に
配置されてきた。
組織の生き残りを目指すラハド司令官は、「メンバーの大半はイスラエルへの移
住も、レバノン国内での収監も望んでいない」として8日、自分以外全員の恩赦を
ラフード・レバノン大統領に要請した。これに対し、レバノンのホス首相は9日、
「自国の敵側に立って自国民への攻撃を続けながら、大統領に恩赦を求めるのは不
可解」との声明を発表。欠席裁判で死刑判決を受けているラハド司令官に投降を呼
びかけた。
ただ、レバノン政府としてはメンバー全員を裁判にかければ、宗派間の対立が再
び激化し、政治的に国内が不安定になりかねないとの懸念がある。
昨年、SLAが撤退したジェジンでは、地元出身で生存と生活のためにやむなく
加わった下級メンバーらが投降。上級メンバーは占領地域側に逃走した。ラハド司
令官は「恩赦が認められるまで武器をとって身を守る」と徹底抗戦の構えだが、イ
スラエルの支援がなくなれば不可能だ。(22:25)