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回答先: 私たちは国民に奉仕する。国に奉仕する。兵役につき、倒れた兵士のそばに付き添い、守る。死にゆく兵士の手を握る。もう一度そうしたい。 投稿者 。。。 日時 2000 年 5 月 10 日 06:00:47:
【アジア国際通信:(00/05/10)】
◆「核のゴミ清掃計画」を可能にした手段と新概念 パート2
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●「350万トン」の劣化ウランが湾岸地域にばらまかれた
湾岸戦争症候群が目立つようになる以前、「43日間戦争」の終結
直後の4月、イギリス原子力公社(UKAEA)は、ある「秘密報告
書」作成していた。
「放射性の粉塵が戦場に拡散し、飲料水や食物連鎖に侵入する恐
れがあり、劣化ウラン兵器から生じた40トンの放射性の残滓が50
万人以上の死者を出す危険性がある」というものであった。
むろん、このアメリカが必要とした「核のゴミ清掃作戦」の最大
の被害者が、イラクを筆頭とするアラブ地域の人々であることは、
年端も行かない子供にでも分かることであろう。
劣化ウランの真実が公にされることを望んでいるのは、湾岸戦争
帰還兵とその家族だけではなく、アラブ地域の人々を筆頭に、世界
中の人々にとっても同様であろう。
UKAEAの「秘密報告書」では40万トンとなっていたが、ペンタ
ゴンがその後、使用量を追加的に認めたことから、劣化ウラン弾の
数はクルクル変わっており、「約100万個の劣化ウラン弾が、イラ
クをはじめとするアラブの地に撃ち込まれ、約350万トンという膨
大な量の劣化ウランがばらまかれた」とされている。
しかし、正確にはもっと多量であった可能性が高く、「800万トン
をこえる」という米報道もある。
「イラクに対して本当は何が行われたのか」といった多くの事実
が、「経済封鎖」によって広く世に知れわたるチャンスは、ほぼ完
全に封じられてきた。
「経済制裁」が、そのために果たしてきた有効性は、特筆すべき
ことであろう。
「経済制裁」という名の「逆鎖国」を強制することによって、実
際にアメリカ軍がイラクに対して何をやったのかは、およそ10年
の長きにわたって、外部に知られないように幕が張られ、充分な調
査など、行われようもない状況を生んできた。
イラク国民全体が、放射能その他の汚染をいちばん恐れ、苦しん
でいる。そのことは少しばかりの想像力を働らかせるだけで充分で
あるにも関わらず、「経済制裁」が学術交流の分野にまで高いハー
ドルを築いている。このハードルが、“さわらぬ神にタタリなし”
というバランサーを、多くの学者に植え付けている。
今年の3月、「経済制裁が保健医療に及ぼす影響」の調査を目的
として、『日本イラク医学生会議』が第3回イラク訪問団を派遣し
た。しかし、このような例は極めて希なケースである。同会議の活
動と報告は、下記アドレスのホームページにある。またメールマガ
ジンも発行している。
(http://square.umin.ac.jp/ihf/iraq/index.htm)
イラクでは、遺伝性奇形があって長くは生きられない乳児が、小
児病棟に見捨てられ、子供たちの間でも、白血病、リンパ組織の異
常増殖、ガンなどが急激に増え、大人たちの間でもこれまでにない
奇病が蔓延した。
しかし、それほどの年月を経た時点では、「43日間戦争」のよう
な人々の感情を直接的に激しく揺さぶる“枠組み”は存在していな
かった。
こうなると、今さら何万語を費やして、「アメリカが行った劣化
ウラン兵器を使った歴史上かつてない残虐な核戦争」という事実を
語っても、劇的に「現実」を揺さぶるほどのインパクトは持ち得な
い。
「現実」というのは、その水面下で蠢くさまざまな“隠しごと”
が、あたかも“バランサー”のごとき役割を担って、危うい均衡を
紡ぐ。
紡ぐことが「現実政治」の核心となっている。そういう意味で、
アメリカは「現実政治」のチャンピオンである。
真実が逐一明らかになるならば、そもそも戦争など成立し得ない。
人もまた、自らが存在している「現実」が脅かされるような真実
までは、必要としない。
意識的にせよ無意識的にせよ、“見て見ぬ振り”が安定的な日常
性を保たせている。
マイケル・ディヴァーはいみじくも、「人々はテレビで見ないと
もう何も信じない」、同時に何よりも、「人々は真実を知りたいわ
けではない」と喝破した。
情報操作を通じて人々の意識の奥深くで働く「バランサー」を、
日常的に操作するための政策(心理戦争)を確立し、システム化し
た男のあからさまな“勝利宣言”である。
彼は元・米政府高官として、政策の中心に日常的な“心理戦争”
を組み込んだ。自ら「報道の管理操作技術のすべてを開発した」と
豪語するのだが、それは過不足のない冷静な自己評価といえる。
*(1999年04月15日号No.202参照)
●「これからも違法な戦争を引き起こす」という宣言
「湾岸戦争」でも「ユーゴ分割戦争」でも、米軍およびその連合
軍は、明確に「国際法違反」の大量破壊兵器を使用した。それは、
広範囲にわたる「生命への権利の侵害」という、国際的に確立され
た「人権」を踏みにじる、惨たらしい戦争であった。
加えて、その実態が明らかにならないよう、さまざまな真実を語
るデータが隠蔽された。
攻撃された側はもとより、攻撃を行う側の武器そのものが、それ
を扱う兵士たちに、破滅的な毒性を浴びせていた事実もそのうちの
一つであった。
だが、唯一の超大国にとって「核のゴミ処理」は、どんな国際法
や人権よりも、高い地位を占めている。日本のマスコミではあまり
注目されていないことだが、この超大国を代表して、公式の場でそ
のことが明確に宣言されていた。
1996年8月19日、『UN小委員会決議1996/16』が提出された。
この『決議』は、「劣化ウランを含む大量破壊および無差別的効
果をもつ兵器の製造と拡散を抑制すること」を狙いとしていた。同
月29日、「賛成15、反対1、棄権8」という結果で採択された。む
ろん「反対1」はアメリカであった。
この審議を巡り、アメリカ代表のデビッド・ワイスブロットは、
決議の阻止に奔走した。しかし、それに失敗するや、文面からの
「劣化ウラン」はずしと、「ジュネーブ条約および拷問その他の残
虐で非人道的な刑罰」の文言を削除しようと、執拗に働きかけた。
彼の一貫した不躾・非礼な態度は、語りぐさにさえなっている。
「戦争行為がたとえ違法なものであっても、被害者による訴追の
対象にならない!」。
これがアメリカの公式見解であった。「核のゴミ」を地球上のあ
ちこちに分散・
移転させるために、アメリカが新しく開発した「概
念」とはこのことである。
“泣く子と地頭”のように手に負えないアメリカの傲慢さが、彼
の「演説」に集約されている。ここまで公の場で言わなければなら
ないほど、アメリカは「核のゴミ」という現実問題で追いつめられ
ている。
だが、唯一の超大国は「核のゴミを不法投棄」する有効な手段を
見つけだした。この手段が「たとえ違法であっても、アメリカは行
使し続けるためのフリーハンドをキープする」という意志表明であ
った。UNが何を「決議」しようと知ったことではないのである。
ワイスブロットの「アメリカの正義」の主張は、アメリカに蓄積
された劣化ウランを、大量に分散・移転させるため、「これからも
違法な戦争を引き起こす」という宣言であり、それ以外の方法を取
る気などないというメッセージを世界に向けて発している。もはや
なりふりを構っていられないのだ。
●アメリカは「時間稼ぎ」には成功した
劣化ウラン兵器は、湾岸戦争で初めて実戦使用され、その破壊力
の優秀さを証明した。
この最先端の核兵器は、「安全性」の議論を回避したまま、何ら
の国際的規制もなく、さらに劣化ウランに関する基本情報も明らか
にされないまま、「通常兵器」としてアメリカから世界中に、「輸
出」という手段を通じてもばらまかれている。
アメリカおよびその連合軍は、少なくとも、戦争の真実が広く知
れ渡ってしまうまでの「時間稼ぎ」には成功した。この「時間稼ぎ」
は、戦争への批判を極めて鈍いもにするという大きな戦果を挙げた。
アメリカ政府は、「清掃計画」の一環として、“死の商人たち”
に大量の劣化ウランを無料で提供し、兵器生産の原材料とした。
原材料費が政府によって“タダ”で提供され、しかも兵器製造業
者はしこたま儲けることができる。シャレにもならないが、こうい
う関係は、“タダ”ごとではない。
しかも、この兵器は世界中に輸出されている。
ペンタゴンをはじめ、兵器製造業者にとっては“濡れ手に泡”で
ある。この極上の商売は、奨励されることはあっても、自ら自粛す
ることなどあり得ない。
彼らに歯止めをかける有効な強制力は、いまのところ何もない。
この連中こそが、「地上の生きとし生けるものの“支配権”を握
っている」というのは、大げさでもなんでもない。
普通の商売なら、お得意さんには頭が上がらないのだが、何せ普
通の商売ではない。お得意さんの方が頭が上がらない。いったいど
こが、自由な「市場経済」なのか!
日本は他の多くの国と並んで、彼らの上得意である。
当時、戦争協力を求められた小沢一郎・自民党幹事長と橋本龍太
郎・大蔵大臣が奔走し、130億ドルの戦費を上納したからだけでは
ない。
自衛隊員が、アメリカから輸入した劣化ウランを原材料とする最
強の兵器によって、日常的に破滅的な毒性を浴びようと、彼らには
お構いなしである。
むろん、アメリカ政府は「半減期が地球の命と同じ」といわれる
この原材料が、どれほど危険で毒性が強いものであるかを充分すぎ
るほど知り抜いている。彼らはその研究データを、腐るほど持って
いるからである。
それらの研究データに記された真実を隠すために、膨大なエネル
ギーを投下して熱心な努力を払ってきた。いまだに、いかなる真実
も公表しておらず、ウソを並べて隠すことに熱中している。
●「因果関係は特定できず、基本的には問題はない」
このままいけば将来の戦争では、敵味方双方の兵士が、猛毒の劣
化ウラン・エアロゾルを吸入摂取させられるのは必定であり、広範
囲にわたって人々が放射能的にも化学的にも汚染されることは避け
ようがない。
少なくとも、常にそのような未曾有の危険な状況と隣り合わせに
なる条件が、“偉大な自由の国”アメリカによって創り出されてい
る。
このような国の「自由と民主主義」に、いかほどの価値があると
いうのか!
ペンタゴンや退役軍人省、国立研究所、米軍機関やその受注者、
およびその代理人である科学者らによって、これまで幾多の劣化ウ
ランに関する「報告書」が公表されている。
しかしそれらのいずれもが、かんじんな分析結果を公表しないま
ま、「基本的に問題はない」とすることが、“権威ある見解”の地
位を保っている。
一方ペンタゴンは、アメリカ兵における湾岸戦争症候群の範囲や
発生の有無、発生源に関する詳細なデータが実際に存在するがゆえ
に、それが明らかになることを、押さえ込こんでいる。
とりわけイラクからの情報が、世界中に知れわたることをもっと
も恐れてきたことは言うまでもない。完全なる「情報もれ封鎖」を
目的としたのが、イラクに対する「経済封鎖」の本当の狙いであっ
た。
ペンタゴンは、湾岸「43日戦争」から10年近くの間、この恐る
べき核兵器の危険性の、いかなる事実も認めようとしてこなかった
し、今なお、事実のほとんどを公表せずに隠し通している。
ところが、一定の時間の経過とともに、長期の慢性疾患に苦しむ
9万人を超える米軍帰還兵の、将来の世代における遺伝性疾患とい
う悪夢のような現実が、隠しようもない真実を語ってしまった。
それ以前から、ウラン発掘に携わったアメリカ先住民族、劣化ウ
ラン製造過程や、製造された劣化ウラン兵器を扱った労働者や兵士、
周辺住民の間で膨大な被害が出ていた。
しかしそれらの事実は、例によって、とりわけ科学者を先頭に、
アメリカ政府及び軍の「因果関係が特定できない」という、毎度聞
かされる“慣用句”の厚い壁に阻まれてきた。
◆次号でさらに「劣化ウラン」を取り上げたい。本文は主として
日本評論社発行の『劣化ウラン弾』を参考資料としている。■
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【アジア国際通信】編集・発行人 神保隆見
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