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内外タイムス4月8日
青木長官“首相代理”
小渕指名に重大な疑問
森喜朗首相は７日衆参本会議で所信表明演説を行い、森内閣がいよいよ本格的に始動す
る。ところがその森内閣誕生の正当性に影響を及ぼす重大問題が浮上してきた。森内閣
誕生の前提となったのが小渕恵三内閣の総辞職だが、これを取り仕切った青木幹雄官房
長官の首相臨時代理就任に重大な疑問があり、それが虚構であった可能性がますます大
きくなってきたのだ。だとすれば「最高権力者」が一部の人間のし意的操作で決められ
たことになる。これは国家の土台にかかわる重大問題で、絶対にあいまいにすることは
できない。
食い違う証言
小渕前首相が緊急入院した２日午前一時からの経過は、青木氏の記者会見が唯一の情報
源だった。しかし、その後関係者が少しずつ証言するようになり、青木会見の疑わしさ
が次第に浮き彫りになってきた。
青木氏は会見で、２日午後７時半ごろ東京・本郷の順天堂医院に小渕氏を見舞い、その
場で「首相臨時代理は青木さんがやるように」との指名を受けた、と述べていた。その
時は小渕氏の意識ははっきりしていたが、それから約３０分後の午後８時ごろ、小渕氏
は集中治療室に運ばれ、こん睡状態に陥った、というのが青木氏の説明だ。
ここは日本の最高権力の委譲にかかわるきわめて重大なポイントだが、青木氏の会見以
外にそれを証明するものは何もない。権力を託されたとする本人だけがそれを主張して
も信じ難いのが普通だ。
案の定、その後の証言でこの青木会見の重大疑問が明らかになった。自民党の村上玉邦
参院議員会長は５日の講演で、小渕氏が入院した２日夜９時すぎ、都内の赤坂プリンス
ホテルに森幹事長、野中広務幹事長代理（いずれも当時）、亀井静香政調会長、青木官
房長官、そして村上氏の５人が集まり、密談したことを明らかにした。本紙が昨日報じ
た「談合」の経緯だ。
村上氏によれば、この中で青木氏は「首相臨時代理は宮沢さん（蔵相）か河野さん（外
相）がいい」と述べた。そして宮沢氏に電話したところ、宮沢氏から「当然官房長官が
やるべきだ」と言われ、結局、村上氏が「青木さんが一番いい」と述べ、いったん固辞
した青木氏もこれを受け入れた、というのだ。
この時点では小渕氏はすでに集中治療室に入っている。しかし村上氏の証言では小渕氏
は青木氏を首相臨時代理などには指名していない。
考えられることは３つ。村上氏がウソをついているか、青木氏が小渕氏から指名を受け
ながらそれに従わず宮沢氏らに押し付けようとしたか、それとも青木氏の会見がウソか
──だ。
村上氏は〃密談５人組〃の１人であり、経過からもその話の信ぴょう性はきわめて高
い。もしも青木氏が小渕氏の指名に従おうとしなかったとしたら、それこそ即刻辞任で
ある。
従って残る１つ、青木氏の会見が大ウソであり、青木氏は小渕氏から首相臨時代理に指
名などされていない可能性が限りなく大きいのである。
内閣法第９条によれば、首相の臨時代理は首相の指名によってしか決定できない。５人
の密談で決まった「首相臨時代理」など法律違反のニセ物にほかならない。
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