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第一火災“飛び火”で協栄生命身売りへ
第一火災海上保険の破たんが、中堅生保の協栄生命保険に飛び火した。協栄生命に300億円もの損失が発生。関係筋によると、協栄生命はすでに米国の最大手生保であるプルデンシャルから資本増強をあおぎ、その傘下に入る方向で交渉を進めている。しかし、新たな損失発生が交渉に影響する可能性もあり、その行方は予断を許さない状況となってきた。
協栄生命と第一火災は昨年3月に相互に資金を拠出し、助け合ったという経緯がある。相互会社である第一火災には、株式会社の資本金に相当する基金400億円があるが、協栄生命はうち300億円を拠出する“大株主”なのだ。
しかし、第一火災が約500億円の債務超過に陥ったことから、この拠出金は返済されず、全額が損失となる見通しで、この処理に伴い、一段と財務体質が悪化することは避けられない情勢だ。
協栄生命は、契約者に約束した利回り(予定利率)よりも実際の運用実績が下回る「逆ザヤ」が年間700億円にも上り、経営不振に陥っている。これまでも経営危機の観測がたびたび浮上、外資系生保による買収が取りざたされてきた。
関係筋によると、すでに4月上旬の段階で、プルデンシャルを最有力候補先に絞り込み、5月中の合意を目指し、交渉を進めている。具体的には、協栄生命がプルデンシャルに対する第三者割り当て増資を実施し、1000億円超の資本参加を仰ぐという。この結果、プルデンシャルによる出資比率は3分の2超となり、事実上の子会社として買収されることになる。
ただ、これまでの交渉は「第一火災の破たんに伴う損失を前提としていない」(関係筋)とみられる。このため、新たな損失処理に対応するための資金手当てを迫られる可能性が高く、交渉に影響を与えるのは必至だ。