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http://www.chunichi.co.jp/news/20000503/shk2001.shtml
■中日新聞から/社会
2000/05/03
高3男子が出頭、逮捕
「人殺す経験したかった」
面識なし 通りがかりの家
着替え準備計画的 捜査本部判断
豊川の主婦殺害
愛知県豊川市金屋元町一の無職筒井弘さん(67)方で、妻の主婦喜代さん
(65)が刺殺された事件で、同県警豊川署捜査本部は二日、殺人の疑いで同県
宝飯郡に住む東三河地方の私立高校三年生の男子生徒(17)を逮捕した。少年
は犯行後、行方が分からなくなっていたが二日夕、名古屋市中村区の名古屋駅交
番に出頭した。少年は「殺害しに行きました」と容疑を認め、「人を殺す経験を
しようと思ってやりました」「若い未来のある人をやってはいけないと思った」
などと動機について供述している。
調べによると、少年は一日午後六時ごろ、筒井さん方に侵入。玄関にいた喜代さ
んの頭を持ってきたかなづちで殴ったうえ、筒井さん方にあった文化包丁で首な
どを切りつけ、約四十カ所をめった刺しにして失血死させた疑い。
少年と筒井さん夫妻とは全く面識がなく、喜代さんを狙ったことについて「通り
がかったら玄関が五センチ開いていたのでここで(殺害)しようと思った」
「(筒井さんの年齢は)表札で名前を見て判断した」な
どと話しているという。
また、少年は逃走資金の約二万円とかなづちをあらかじめ用意していたほか、犯
行前に現場の北約二百メートルの竹やぶに袋入りの着替えと草刈り用の鎌(か
ま)を置いたとも供述した。
喜代さんを刺した後に竹やぶに立ち寄り、血の付いた制服のブレザーなどを着替
えていたことなどから、同本部は計画的犯行と判断している。
少年は着替えた後、自転車で名鉄国府駅へ行き、名鉄に乗って新名古屋駅や新岐
阜駅などを往復、名鉄犬山線の中小田井駅近くのトイレで一晩過ごした後、「寒
くて疲れた」として交番に出頭したと話している。
少年は高校の「特進クラス」に属し、成績も優秀で、一日もふだん通り登校し、
午後四時半まで授業を受けた。放課後に現場近くのコンビニエンスストアで買い
物をしている姿が目撃されていた。
同本部は、室内に残された学生カバンの中の学生証からこの少年を特定。筒井さ
んの目撃証言と一致したことから二日朝、逮捕状を取って行方を追っていた。
少年は落ち着いて調べに応じているというが、供述に不可解な点があるため、動
機や筒井さん方を狙った理由について慎重に調べを進める。
少年は一人っ子で、祖父母、父親との四人家族。幼いころ母親が離婚しており、
父親は中学校の教諭。祖父も元教諭で親子二代の教員一家だった。
「逮捕の高3、いじめられていた」
『カネ持ってこい』
同級生らが恐喝
本社支局に匿名電話
主婦筒井喜代さん殺害事件で、逮捕された男子高校三年生について二日夕、高校
の先輩という女性から「彼は同級生らからいじめられ、学校内外でカネを持って
来いと脅されていた」と指摘する電話が、中日新聞豊橋支局にあった。電話の主
は少年が通う東三河の私立高校を今春卒業したばかりという一年先輩。匿名を条
件に約十五分話した。電車通学でもよく一緒になった顔見知りだという。
電話によると、逮捕された男子高校生がまだだれか知られていなかった二日朝、
在校生である後輩から「事件の犯人って、〇〇(実名)じゃないか」との電話が
かかってきた。「なぜ分かったか」と尋ねると、後輩は「〇〇は、豊川市内の友
達から『カネを持ってこい』と脅され、いじめられていた。〇〇はひどく悩んで
いたようだった。だから、〇〇が(事件を起こ)したと思った」と答えたという。
支局への電話の主は「在校生らは、いじめの件について学校の先生から口止めさ
れている。(〇〇は)かわいそうだ」とも伝えてきた。いじめが、暴力を伴うも
のだったかどうかは分からないという。