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東京スポーツ5月4日
NEWS衝撃の核心
グアテマラ日本人襲撃撲殺事件で浮上した臓器密売グループの恐怖
グアテマラ西部のトドス・サントス・クチュマタンで起きた日本人観光客襲撃事件
で、同国のポルテイジョ警察長官は1日(日本時間2日)、騒動の首謀者とみられる
現地住民19人の逮捕状を取り、一斉追跡に乗り出したことを明らかにした。
これまでの調べによると、事件はツアー参加者23人が同町の市場を訪れ、写真を
撮ったり品物を物色していた際、若い母親のひと言で日本人が子供をさらおうとした
と住民たちが誤解し、石や棒を携えて襲撃。逃げ遅れた山広哲男さん(39)=埼玉
県与野市の会社員=ら2人の顔を、オノで切りつけて殺害した。
彼らはなぜこうも、異常なほどの騒動を引き起こしたのだろうか?
地元紙などによると、それには中南米で頻発する臓器密売目当ての残酷な誘拐事件な
どが絡んでいる。
8年前の92年3月のことだ。ブラジルのリオデジャネイロ州イジュノポリスという
町で、42歳になる臨月の女性が数人のグループに誘拐されて監禁中に出産。赤ちゃ
んだけが盗まれ母親は解放されるという奇妙な事件が発生した。後に逮捕したメン
バーの供述などから、犯行グルーブが医師を中心とする臓器密売団であることが判明
した。
ところが、1年後の93年4月、今度はグアテマラの隣国ホンジュラス北部のプエル
トコルテスという町で、トラックの荷台の上に放置された冷凍庫の中から、心臓をは
じめ、内臓部分だけをきれいにえぐり取られた複数幼児の遺体が発見された。また、
この年8月には、ブラジルのリオデジャネイロ空港で、密輸団のメンバーである歯科
医師が、生後15か月の赤ちゃんをドイツに連れ出すべく、運び屋2人に渡そうとし
て警察に摘発された。
この組織は2年前から、貧困家庭から50人以上の乳幼児を1人およそ200ドル
(約2万2000円)で買ったり誘拐したりしたうえ、外国に連れ出して臓器を摘
出。心臓を8万ドル(約880万円)、腎臓を3万5000ドル(約385万円)で
転売していた。
すでにこのころから、特にメキシコ、グアテマラ、ブラジル、ボリビアなどでは、
10歳くらいまでの子供を対象とした誘拐事件が頻発、ブラジルでは被害者3000
人。グアテマラでも政府・警察当局がかなりの力を入れて、犯行メンバーを逮捕した
り、「飼育の家」とされた一時監禁アジトを摘発してきたのだが、いまでも年間に
100〜200人の子供が行方不明になっているという。
〈山元春生&本紙取材班〉