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自公保連立政権への評価を問う総選挙は、6月13日公示―25日投票という日程が決まった。天皇訪欧中の衆院解散という選択肢が早々となくなり、森喜朗首相が側近に検討を命じた土曜日の6月24日を投票日とする案も簡単に立ち消えた。いずれも公明党・創価学会の意向を配慮した結果だ。次の総選挙で自民党は、初めて全国規模で700万票の集票力を持つ創価学会の支援を受ける。公明党・創価学会の人脈を握る野中広務幹事長ら小渕派実力者の判断を、首相は追認せざるをえなかった。
森首相が、政治日程をめぐって野中氏や青木幹雄官房長官と会談したのは4月20日夜。野中氏らは総選挙日程を「首相に一任した」と強調した。ただ、青木氏は解散から公示までには一定の日数が必要と説明。事実上、6月18日投票は難しいことを伝えた。
その2日後、自民党の有力幹部は創価学会の関西地域の幹部と会った。「6月25日投票を前提に選挙準備を進めましょう」。双方の意見が一致した。
翌日、公明党の神崎武法代表は金沢市内での講演で、「6月下旬の総選挙日程は動かないだろう」と語った。
独自色を発揮したい首相が、こうした流れに漫然と乗っていたわけではない。野中、青木両氏との会談後、「土曜日投票は物理的に可能かどうか、検討してみてくれ」と側近に指示。首相が初当選した選挙も、投票日は土曜日。選択肢を広げるために、6月24日投票を探ったのだ。野中氏も、首相の思いを察知し、内々に検討を始めていた。
だが、青木氏は猛然と反発した。記者会見で「想像したこともなかった。解散権は首相にあるが、投票日を決める権限が首相にあるのか、選挙管理委員会にあるのか分からない」と強い口調で語り、否定的な流れをつくった。
青木氏は、中小・零細企業では週休2日制が行きわたっておらず、かえって反発を招くと心配していた。「首相にいろいろなことを言う人がいるだけだ」と周辺に語った。
公明党も動いた。「土曜日投票」案を知った幹部は、直ちに野中氏に会い、「正々堂々と日曜にやるべきだ」。創価学会員には、中小企業の労働者も多く、土曜日投票となると投票率が激減することを恐れた。
2日後の3党首会談。神崎氏が「奇策はとらない方がいいと思う」と発言し、青木氏が「それ(土曜日投票)はないと思う」と断じた。
(08:27)