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偏見助長と「精神分裂病」の名称変更へ
精神疾患のひとつである「精神分裂病」という病名は、病気の実態を正しく
伝えておらず、偏見を助長しているとして、日本精神神経学会は一日までに、
病名を変更する方針を固めた。十日から仙台市で開かれる同学会総会で、どん
な名称がよいか議論を始める。
精神分裂病は一九一一年に、スイスの精神病学者ブロイラーが提唱。原語は
ドイツ語の「シゾ(分離した)フレニー(精神)」で、精神作用の統合が失わ
れた状態を指す。日本精神神経学会が三七年に、これを「精神分裂病」と直訳
した。
ところが、長期にわたる患者の追跡調査の結果、症状が改善する例を含めて
経過は多様なことがわかり、この病気のとらえ方は、大きく変わってきた。特
に最近の治療法の進歩で、薬を適切に使えば、患者の半数以上は症状を抑えら
れるといわれるようになった。
しかし、精神分裂病という名称のままでは、一般の人にある偏見を払拭(ふ
っしょく)できないことから、全国精神障害者家族会連合会も同学会に変更を
要望していた。
同学会の「疾患概念と用語に関する委員会」(委員長=佐藤光源・東北大教
授)は、五年間にわたり議論を重ね、「患者と一般の人が偏見なく共生できる
社会の実現には、あまりに否定的な響きがある」と、改称することになった。
新病名として、提唱者の名前を冠した「ブロイラー病」や、原語をそのまま使
った「シゾフレニー」などが検討されている。
ただ、精神保健福祉法で精神障害者の定義として精神分裂病患者を挙げるな
ど、法律や行政用語、マスコミの用語も変わらないと実効性がないため、学会
として社会にどう働きかけていくかも今後検討する。
◆精神分裂病
幻視、幻聴といった妄想や興奮などの陽性症状、周囲の呼びかけに反応しな
い感情鈍麻などの陰性症状が特徴。主として青年期に発症し、発症率は千人に
七〜九人とされる。脳内で、神経伝達物質ドーパミンが過剰に分泌された結果
との説もあるが、原因は確定していない。(5月2日03:13)
http://www.yomiuri.co.jp/00a/20000502i301.htm
文例
「石原慎太●の言動行動はまるでブロイラー病患者のようだ」
【精神分裂病】日刊スポーツ・健康
「精神分裂病は、胎生期・発育期の遺伝子変異、感染、外傷、中毒などさま
ざまな原因で軽度の機能的あるいは形態学的な障害を持ち、思春期以降に発病
する。発病には社会心理学的要因や身体的要因が関与する」(柿本泰男元愛媛
大学精神神経科教授)というのが今日の代表的な精神分裂病・病因についての
考え方。
最近の大きな変化として(1)精神分裂病患者の病状と経過に、これまでの
古典的な病型である発病して急速に人格荒廃に至るケースが減少し、破滅型・
緊張型・妄想型の区別がつきにくくなり、軽症化が多く見られる傾向が進んで
いる。
(2)精神分裂病者の特徴的な病状である幻覚妄想や意欲低下、思考過程障
害などの症状改善に著しい効果を示すクロルプロマジン・塩酸クロルプロマジ
ン・レポメプロマジン・プロペリシアジン製剤を主とする向精神薬が出現した
ことにより、これまでは(1970年前まで)分裂症は予後不良で不治の疾患
であるとされてきたのが「治る病気」とし見直されてきている。
そのため、現在では「発症即入院」ということは減少し、通院による薬物療
法を主とした寛解療法を病院で受けている在宅治療者の数が大幅に増え、入院
治療者数よりも在宅通院治療者数のほうが超えるに至っている。さらに、デイ
ケアやナイトホスピタルが進み、増加傾向に拍車がかかっているという大きな
様変わりだ。初回入院者の在院期間も短縮し、軽快退院率は80〜90%にも
達している。
しかし、残念ながら向精神薬療法が分裂病の根治につながるというわけには
いかず、主治医のもとでの薬の使用を止めれば即再発につながり、長期入院を
余儀なくされる。よって、良い精神科医とは今日では再発防止に腕を振るう医
師・病院のことだ。 【医療ジャーナリスト 丹羽幸一】
http://www.nikkansports.com/news2/health/10/he10_b0614.html
うつ病
http://www.nikkansports.com/news2/health/10/he10_86.html
http://www.nikkansports.com/news2/health/10/he10_87.html
高村智恵子(福島県庁HP)
http://www.pref.fukushima.jp/list/ym962_l.html