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◆ストーカー被害の告訴に兵庫県警「誓約書でどないやろ」
昨年2月、兵庫県姫路市の女性が、元交際相手に
車をぶつけられ死亡した事件があり、この女性は元
交際相手から事件の前に暴行を受けるなどのストー
カー被害を同県警に申し出、告訴する意思を伝えた
ところ、地元署の警察官から誓約書で済ますよう求
められていたことが5日、わかった。女性や家族は何
度か警察に通報していた上、事件の直前に交番を
訪れた際には警官から暴言を吐かれたとも訴えてい
る。
県警によると、事件は昨年2月2日朝、兵庫県太子
町広坂の県道で起きた。姫路市内の会社員、尾ノ井
由加子さん(当時20)運転の軽乗用車が、以前に交
際していた同町立岡、会社員井上喜靖容疑者(当
時27)運転の乗用車に正面からぶつけられ、尾ノ井
さんは胸を打ち間もなく死亡、井上容疑者は直後に
車内で包丁で胸を刺すなどして自殺した。龍野署は
同年3月、故意に車をぶつけて殺害したとして同容
疑者を殺人容疑で被疑者死亡のまま書類送検し
た。
尾ノ井さんの兄、廣行さん(44)によると、由加子さ
んは1997年末ごろ、井上容疑者と別れようとしたと
ころ、深夜に自宅に電話がかかってきたり、呼び出さ
れて暴力を振るわれたりしたという。98年6月、由加
子さんが井上容疑者から5日間のけがを負わせられ
たとして、福崎署は井上容疑者を傷害容疑で逮捕。
その後、双方で和解が成立し、井上容疑者は起訴
猶予になった。
しかしその後も暴力行為が続き、同年12月23日、
廣行さんと由加子さんが龍野署の交番を訪れ、「告
訴する」と申し出た。だが、交番にいた警察官の一人
から「誓約書でどないやろ」と持ちかけられ、後から
交番に来た井上容疑者は、廣行さんらの前で「今後
一切、迷惑をかけない」という内容の誓約書に署名、
なつ印したという。
廣行さんは昨年1月31日、誓約書の写しが欲しい
と交番を再訪した。先に対応した警察官がコピーは
渡せないとした上で、廣行さんに「(井上容疑者に)
女でも紹介したったらどないや」と言ったという。その
2日後に事件が起き、由加子さんは亡くなった。
廣行さんはこうした経緯をつづった手記を5日発売
の月刊誌「論座」(朝日新聞社)に寄せており、「警察
が本気で対応してくれていたら妹は死なずに済ん
だ。警察は殺人に及んだ経緯を明らかにして責任を
取るべきだ」と話している。
●県警広報課の話 会社員が反省、謝罪して交際
を絶つことで双方が合意したため、和解してはどうか
と持ちかけた。(女性を紹介したらという発言につい
ては)交番の警察官はそういう発言はしていないと
否定している。警察相談や110番通報などで適正に
対応して被害の防止を図ってきたが、最悪の結果が
生じたことは大変残念。
(16:47)