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2000.04.25
■一大経済区域計画 豆満江開発に“春風”
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北の姿勢変化で国連開発計画/日本参加働きかけ
【北京24日=古森義久】国連開発計画(UNDP)の主導で中国、ロシア、北朝鮮の三国にまたがる豆満江流域に一大経済区域をつくろうという「豆満江開発計画」が北朝鮮をめぐる政治情勢の新展開により新たな光をあびるようになった。これまでの十年ほどでは政治緊迫や資金不足で肝心の投資が予定をはるかに下回り、北東アジアでは唯一、同計画に加わっていない日本への期待がまた急速に高まってきた。
中国、ロシア、北朝鮮の三国にまたがる豆満江の三角州流域に「東北アジアの香港」とも呼べる一大経済開発区域をつくろうという豆満江開発計画は、九一年末からUNDPの主導でスタートした。冷戦後の北東アジアの緊張を地域経済協力で緩和しようという狙いで、同三国のほかにモンゴルと韓国が加わり、二十年間で三百億ドルの投資が目標とされた。
日本は北朝鮮と国交がないことや、開発計画にかかわる各国関係が不安定なことを理由に同計画には加わらなかった。しかし北朝鮮が米国、日本、韓国などとそれぞれ従来とはやや異なる外交姿勢をみせるようになった情勢を踏まえ、UNDP主導下の豆満江開発計画事務局(北京市所在)では日本に対し新たな呼びかけを開始した。
デービッド・ハズバンド同事務局長が二十一日、北京で語ったところによると、同局長自身、昨年末に日本を訪れ、外務省、通産省、自民党などの関係者と会って協力を要請しただけでなく、現在も連絡を保って、豆満江開発計画への日本の直接の参加や、投資や融資の増加を訴えるようになった。加盟各国の間では日本の財政力や技術力への期待が高く、最近の政治情勢の変化は、日本の従来のためらいを大幅に減らすだろうとの見方が強いという。
しかし豆満江開発自体は予定が大幅に遅れ、前進の見通しは依然、険しいままとなっている。中国の琿春、北朝鮮の羅津、ロシアのザルビノを結ぶ一千平方キロの地域はそもそも経済水準が極端に低いうえ、三国の国境の往来も厳しく規制されてきたため、ハズバンド局長自身も「開発計画自体が最近までは幻影に近かった」と認めている。
この地域への投資も当初の計画では二十年間に三百億ドルという野心的な目標が掲げられたが、同事務局の発表でも計画スタートから九九年までの各国からの直接投資は総額十二億ドルに留まった。
同地域には水産加工業、軽工業、林業、鉱業、観光業などの各分野に香港、韓国、日本、マレーシアなどからの中小企業が進出を試みたものの、インフラ基盤など産業開発上の基本的な欠陥から全体としての広がりは少なく、撤退した企業も多いという。
このためUNDPでは重点事業として同地域での(1)インフラ整備のための幹線道路と鉄道などによる「交通回廊」の建設(2)中国、ロシア、北朝鮮三国間の国境往来障害の軽減−の事業を推進する一方、肝心の資金面では半官半民の多国籍開発金融機関の「北東アジア・豆満江投資公社」を創設する計画に力を注ぎ始めた。
日本に関してはとくに同投資公社への協力が求められているという。
http://www.sankei.co.jp/paper/today/internat/25int003.htm