Tweet |
米中央情報局(CIA)職員が米国の有力大学の「情報管理学」の講師として引っ張りだこになっている。ベトナム反戦運動が燃え盛り、CIA職員がキャンパスに立ち入ったことがわかっただけで″スパイの青田買い″と学生が激しい抗議デモを繰り広げた時代とは対照的だ。
米紙ワシントン・ポストは「米国学生が冷戦終結後、政治的に保守的傾向を強めた証拠」と分析している。
同紙によると、現在CIA職員を講師に招いているのはジョージタウン、ジョ−ジ・ワシントン大など九つの大学。CIAは八五年から講師派遣を始め、ハーバード、プリンストン大など名門を含む三十校に派遣してきた。ここ数年は、CIAの担当者の机には全米の大学からの講師派遣依頼が殺到し、需要に派遣陣容が追いつかないほどという。
派遣を求めてくるのは、経営学、図書館学、情報学など情報管理と密接した講座を持つ大学。講師には、かつてのスパイも含まれ、情報を重要度に応じて分類する手法や、情報管理の実際を伝授する。米国のスパイ活動の歴史を教える講師もいるという。
冷戦終結後、CIAの活動は情報収集・分析に重点がシフトした。こうした実態も、学生側のCIAに対するアレルギーを減殺したと同紙は指摘している。
(ワレントン 林 路郎)