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▼署員が「告訴」を「被害届」に改ざん 桶川女子大生事件
埼玉県桶川市で昨年１０月に刺殺された女子大生
猪野詩織さん（当時２１）と遺族への警察の対応問題
をめぐり、生前に中傷ビラをまかれていた猪野さんが
名誉棄損容疑で配布者らを告訴する意思を示した
調書を、上尾署の捜査員が勝手に改ざんしていたこ
になって「被害届」を出したという内容に書き直したと
される。県警は改ざんに関与した捜査員数人につい
て、虚偽有印公文書変造容疑で刑事責任を問う方
針を固め、調べを進めている。不正行為の全容を解
明したうえで、捜査員の上司らについても監督責任
を問う処分に踏み切ると見られる。
この問題で県警は、上尾署が告訴の取り下げを求
めたのではないかという国会での論議を受けて先
月、捜査が適切だったかどうかを調べる調査班を設
置した。調書の改ざんが明らかになったことにより、
上尾署の捜査員が調書を書き換えて告訴自体がな
かったものとして扱い、その後、猪野さん側に告訴の
取り下げを持ち掛けた疑いが浮かび上がった。
猪野さんは昨年６月ごろから、元風俗店長・小松和
人容疑者（当時２７）＝被疑者死亡で不起訴＝らに
現金を要求されたり、自宅周辺に中傷ビラをまかれ
たりするなどの被害を受けたとされる。このため、猪
野さん側は上尾署を訪ね、７月末に被疑者不詳のま
ま名誉棄損容疑で告訴したという。
県警の調べでは、上尾署の捜査員はその後、被害
の実態や処罰の意思などを被害者として話した猪野
さん側の調書を勝手に改ざんし、「告訴しました」と
する内容を「被害を届けます」という内容に書き換え
たとされる。
告訴を受理すると、捜査員は県警本部に対し、３カ
月ごとに捜査の進み具合を報告しなくてはならな
い。改ざんの理由について県警は、名誉棄損容疑の
捜査に消極的だった捜査員がこうした報告を嫌い、
告訴受理という事実をなかったことにしようとした疑
いがあるとみている。
県警は国会の論議を受けて、捜査員に誤解を招く
不適切な発言があったと認めて謝罪したが、告訴の
取り下げを明確に求めた発言はなかったと説明して
いる。その後、３月１０日に調査班を設置し、１カ月近
くにわたって猪野さんの遺族や上尾署員から事情を
聴くなどして事実関係を調べてきた。
猪野さんの父親は３月２４日に浦和市で記者会見
し、上尾署の捜査員に昨年９月下旬、「告訴を取り下
げてほしいと要請された」と改めて主張。そのうえで
「徹底的に調査して、納得できるような報告を早くだ
してほしい」と話した。
この事件では猪野さんが刺殺された後の昨年１２
月、小松容疑者の兄の武史被告（３３）ら４人が逮捕
され、殺人罪で起訴された。さらに今年１月、この４
人を含む計１３人が名誉棄損容疑で逮捕された。し
かし、中心人物とされる小松容疑者が北海道で自殺
し、事件の核心部分に未解明の点が残っている。
(03:35)
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