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【英国発】 2000.4.14 12:23:30 GMT――
仏ストラスブールの欧州議会(EP)で先日,国際的機関による電子コミュニケーションのスパイ行為を「重大なプライバシー侵害行為」と見なすよう求める提案がなされた。もしこの提議が受け入れられると,参加国および非参加国による欧州国境を越えたスパイ行為が禁止されることになる。また,その旨が,10月に発行予定の欧州の新たな人権憲章に盛り込まれる可能性もある。
4月11日に開かれた欧州議会で,同議会の「市民の自由と権利,および法律と家庭問題に関する委員会」のGraham Watson議長は,参加メンバーらにこの提議に対する支持を呼びかけた。Watson氏によると,半世紀近く前に人権保護のために立案された条約や規則は技術の進化に追いついておらず,衛星などのハイテクを駆使したスパイ技術の登場により,プライバシーに対する基本的人権はもはや保護できないところまで来ている。
だが,欧州議会の執行グループは4月13日,Watson氏の提案について,合意に至ることができなかった。8カ国の欧州議会メンバーによって構成されたPresidents' Conferenceは,まだ決定の段階にない「指令」を検討するための臨時委員会の招集を提案した。Watson氏はこの指令が,プライバシーの問題にフォーカスし,5月4日までに決定となることを望んでいる。
Watson氏率いる委員会の広報担当者は,臨時委員会の招集という決定には失望したとしている。同氏がZDNNに語ったところによると,先日の会合では,欧州委員会はこの提案について不明確な言及の仕方しかしていない。
「委員会は,この問題について漠然と触れているが,10月に予定されている新しい人権憲章に合わせるためには,これを6月までに完成させなければならないことは明らかだ」と同広報担当者。
Watson氏によると,人権憲章の改訂は必須。既存の枠組みでは,「欧州は自分たち以外が始めた傍受から,自分たちを保護できず,欧州の人々が期待すべきものを実現できない」と同氏。
Watson氏は,デジタルコミュニケーションを傍受するのであれば「法的論拠に基づき,公共の利益となるものでなければならない。これは厳しく制限されるべきだ」と述べている。
もし同氏の提議が認められれば,特定の規約がない限り,国際機関が外交,商業,もしくは個人的コミュニケーションに対して行うスパイ行為は禁じられる。米国をはじめとする各国は,「第三国による欧州連合加盟国とその機関,そして市民に関するすべての形態の組織的かつ総合的な諜報活動」の停止を要求されることになる。
Watson氏によると,既存の規定では,電子盗聴には対応できない。
「これらの問題に対処できる,何らかの規約を作成しておくべきだった。現在,この問題に関しては国際的に野放しの状況だ。私の提議が実現しようとしているのは,電子的な監視に関する何らかの民主的な拠り所だ。電子盗聴を規制する司法機関のような問題が存在しない以上,欧州連合や米国は,そろそろこれら問題を何らかの方法で規制する枠組みを作るべきだと思う。それはすべての市民にとって利益となるものだ」(Watson氏)
[Richard Barry(ZDNet/UK), ZDNet/USA]