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京都拘置所(京都市伏見区)で昨年秋、職員の保管中の現金が紛失した際、安福慶雅所長が個人的に当時の京都府警堀川署長(59)に「容疑者を捜したい」と依頼し、署の鑑識道具一式の貸し出しを受け、堀川署内で拘置所職員に鑑識の講習を受けさせていたことが十一日分かった。拘置所は、管轄の九条署には届けていなかった。府警は、前署長らから事情を聴く方針。
前署長は当時警視で、昨年十二月一日付で退職している。拘置所長と前署長は堀川署管内の矯正団体や拘置所の矯正展などを通じ、知り合った。
関係者によると、昨年九月十七日、拘置所の更衣室で、処遇部の職員がロッカーに入れていた給与やサッカー同好会の会費計約三十万円がなくなっているのに気付いた、という。
報告を受けた拘置所長は同二十日、受け持ちの九条署に被害届を出さずに、堀川署長に直接電話し、鑑識道具の提供を依頼したところ、署長が応じた。同日中に特別司法警察職員でもある拘置所職員三人が同署内で、刑事課員から指紋採取法の指導を受けた。このあと、アルミニウム粉末や筆など署の鑑識道具を持ち帰り、現金を保管していたロッカー周辺と、同意の上で処遇部十四人からそれぞれ指紋を取った、という。
拘置所側は更衣室に職員以外は出入りできないため、内部犯行の可能性が高いとみて、職員から事情も聴いたが、結局、容疑者は特定できなかった。十月に拘置所長が全職員に事案の経過と捜査の終結を報告した。管轄の九条署には、指紋採取後の昨年九月二十四日と十月五日に相談に行ったが、盗難届は出していない。