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回答先: タイガーマネジメント、全ファンド清算へ(日経) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2000 年 3 月 31 日 13:48:55:
アメリカの大手ヘッジファンド、タイガー・マネジメントが三十日、ファンドを清算することを決め、事実上破たんした。タイガーはジョージ・ソロス氏のクオンタム・ファンドなどと並ぶ最大手のヘッジファンドで、九七年のアジア通貨危機の際には各国の通貨を次々と売り浴びせ、国際的な投機マネーとして勇名をはせた。それからわずか三年足らずで市場の淘汰(とうた)の波にさらわれた要因のひとつとして、今のアメリカの株式相場が、筋金入りのプロの投資家にも予想できなくなっていることが挙げられる。(ニューヨーク 三浦 潤一)
タイガーの基本的な投資手法は、ソロス氏と同様に、ち密な経済理論から導き出された理論上の数値と、実際の株や通貨などを比べ、割安なら買い、割高だと売るという手法だ。これに様々なデリバティブ(金融派生商品)を組み合わせ、利益を最大化させる。アジア通貨危機の際には、各国の通貨が実際の経済力より割高と判断し、売りに回った。
しかし、思わぬ相場変動で大けがをすることもあった。日本経済が不況のどん底にあったにもかかわらず、円相場が一日で九円以上も急騰した九八年十月七日には、円の売りポジションを大量に抱えていたため、一日だけで二十億ドルを失った。九八年のロシア危機の際にも六億ドルを失った。
その後の相場の落ち着きで、運用状況は改善されていたが、最近のハイテク株の急騰に足をすくわれた。
◆高騰ハイテク株、見送り致命傷に◆
タイガーを主宰するジュリアン・ロバートソン氏(67)は、利益も上げていないハイテク株が高騰するのは「崩壊確実な砂で作ったピラミッドに過ぎない」と断じ、一切投資しなかった。逆に航空大手のUSエアなど、理論値より株価が安いと判断した「オールドエコノミー銘柄」を買い集め、結果的にこれが命取りとなった。
今のハイテク株バブルはパソコン経由のゲーム感覚の個人投資家が高騰を演出する素人主導の相場となっており、利益などは初めから度外視され、理論武装したプロの投資家でも予測がつかなくなっている。そこに落とし穴があった。
ロバートソン氏をよく知るあるヘッジファンドの投資責任者は「彼は、彼が信じた理論に負けた」と話している。
ヘッジファンドの中にも論理無用のハイテク株バブルで利益を上げているものもある。ソロス氏のクオンタム・ファンドは昨年、マイクロソフトやワイヤレス通信機器製造のクオルコムなどハイテク銘柄に投資を始め、預かり資産の35%もの運用成績を上げた。ただ、今年初めには三日間で六億ドルを失うなど、乱高下する相場に手を焼いている。
ロバートソン氏は、証券大手のキダー・ピーボディーに二十年間勤めて、投資技術を学び、八〇年にタイガーを設立した。その後は順調に運用実績を膨らませ、九六年には預かり資産の50%、九七年には72%もの運用益を上げた。
九八年にはクオンタム・ファンドに次ぐ二百二十億ドルもの預かり資産を集め、顧問にサッチャー元英首相や元米大統領選候補のボブ・ドール氏などを迎えるなど絶頂を誇った。それからわずか二年足らずの暗転となった。
◆アジア市場への体制強化――米大手ヘッジファンド◆
株価のバブル懸念など米市場の投資環境が悪化したことから、米大手ヘッジファンドは日本などアジア市場の足場強化に動き出している。ジョージ・ソロス氏が率いるソロス・ファンド・マネジメントは今年一月、都内に日本支社を開設し、大和証券OBをトップに迎えた。さらに、四月からは日本の投資助言会社と提携しアジア市場での運用体制を強化している。
また、チューダー・キャピタルは昨年秋、日本に運用部門を新設した。ヘッジファンドは八〇年代から日本に担当者を置いていたが、調査部門のみだっただけに最近の日本市場への注目ぶりが際立っている。
今年初めに東京外国為替市場の円相場が一ドル=一〇一円台に円が急騰し、政府・日銀が円売り介入する局面があったが、その際、大量の円買い・ドル売りを仕掛けて円高を演出したのも米系のヘッジファンドと見られている。
過熱気味の米国の株価に比べて日本などのアジア株に割安感が強いことが進出を後押ししている。日本の市場関係者には「米系ヘッジファンドは日本を本格的な調達・運用市場として明確に位置付け始めた」との見方が強まっている。
(4月1日01:43)