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東京都杉並区内の都清掃局の不燃ごみ圧縮施設「杉並中継所」の周辺住民約二百人が一九九六年二月の操業開始直後から、のどや目の痛みなどを訴えている「杉並病」の原因を調査していた東京都の「杉並中継所周辺環境問題調査委員会」は二十四日、「下水道に放流された中継所の汚水から大量の硫化水素が発生した可能性が高い」と結論付けた。都はこれまで、中継所と健康被害は無関係と主張してきたが、同委員会が因果関係を認めたことで今後の行政対応に大きく影響しそうだ。
問題の汚水は、中継所内で、舞い上がる粉じんを抑えるためにまいたり、圧縮機などの設備を洗浄したもので、貯水槽にためた後、まとめて下水道に流していた。操業開始から五か月後の九六年七月、この下水道への放流を中止、翌九七年三月には排水処理装置を導入して放流を再開した。
同委員会は、疫学や公衆衛生学などの専門家十二人で構成され、昨年十一月に発足。今年に入り、汚水を、五日間貯蔵するなど操業当初と同じ条件下で実験を行った。その結果、硫化水素が340ppmに急上昇した。
硫化水素は硫黄と水素の化合物で、10ppm程度で目がちらつくなどの異常が生じ、濃度が高くなると、頭痛や呼吸障害を引き起こすと言われている。
同委員会では、実験結果に基づき、高濃度の硫化水素が、側溝などを通って大気中に流れ出し、健康被害をもたらした可能性が強いと結論付けた。また、隣接する公園で使用された防腐剤「クレオソート」が気化した影響も考えられる、とした。
(3月25日3:03)