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平成8年8月
在外派遣者へのアンケート(取りまとめ)
1 派遣された在外公館・役職
在ユーゴースラヴィア日本国大使館二等書記官 2人(内1人は戦禍のため途中トルコ大使館へ異動)
在ポーランド日本国大使館三等書記官 1人
在中華人民共和国日本国大使館二等書記官及び三等書記官 各1人(2人)
ドイツ・ミュンヘン大学付属外国人学校 2人
イスラエル・テルアビブ大学ジャッフィ戦略研究所客員研究員 2人
2 派遣先における職務内容
(1) 在外公館
@ 二等書記官(アタッシェ派遣)
○ ユーゴ→同国外政(情報収集及び同国通信社記事をレポート報告)
アルバニア外政(情報収集及び同国通信社記事をレポート報告)
JICAを通じた技術協力の仲介事務、領事業務(副)
○ トルコ→同国外政(情報収集及び同国通信社記事をレポート報告)、儀典
同国内政(副)
A 二等書記官(警備館派遣)
○ 中国→警備班班長、邦人保護サポート
B 三等書記官(警備館派遣)
○ ポーランド→警備、領事(全期間)、文書業務(半年)、宿直(半年)
○ 中国→査証、邦人保護
(2) 出張
@ ミュンヘン
○ ドイツ及び東欧の国際関係研究(レポート報告)
○ ドイツ情報機関との渉外
A イスラエル
○ イスラエル情報機関との連絡、渉外(総保安局、軍情報部等を含む)(レポート報告)
○ 研究所における研究
○ 研究所職員や在留邦人からの当庁関連情報の収集(レポート報告)
○ 当庁からの来訪者のアテンド
3 在外における業務と当庁業務の関連性(帰国後を含む)と問題点
(1) 関連する点
@ 人脈の構築が、特に帰国後有効である。
A 当庁にとって必要と思われる情報収集のできることがある。
(2) 問題点
@ 情報機関職員としての海外派遣ではない。
A 在外公館勤務では業務負担が結構大きいので、当庁関連情報収集等を行うにあたり時間的に厳しいものがある。
B 当庁へ情報提報する際、通信手段に不安を感じる。
C 「警備官」ではデスクワークはないに等しく、3年間文書を起案しない。
D イスラエルには、妻帯者を派遣するべきである。
○ 同地においては、最も安全と思われる自宅のホーム・パーティーに招待したりされたりで情報交換やネットワーク作りが行われているが、独身者ではこれに参加できない。
○ 派遣者が独身者の場合、同地の機関に女性問題で非常に神経を遣わせている。
4 在外勤務における勤務に対する自己採点
(1) できるだけのことを行った。また帰朝後の業務にもつながり良かった(多数)。
(2) 外務省職員として頑張ったつもりだが、当庁職員としての情報収集等については不満が残る。
5 感想
(1) 出張の方が外務省勤務より自由に行動できるので成果(@ネットワーク作りA本庁への情報提供B派遣国以外へ自由に入国)につながる(ミュンヘン)。
(2) 自分なりの成長等、大きな収穫があり有意義であった(中国)。
(3) 得難い経験をしたと思うが、在外公館は非常に狭い世界なので対人関係を不得手とするならば逆効果になる可能性がある(ポーランド)。
(4) 警察庁からの出向者がいたので現地の機関連絡ができず情報収集が満足にできなかった(トルコ)。
(5) 当庁への情報提供について特段の指示もなく、ボランティア的に現地情報等報告した(ユーゴ、現在は改善した)。
(6) 当庁へ情報提報する際、通信手段に不安を感じるので改善願いたい。
6 提言
(1) 現地情報の収集やネットワーク作りは在外公館勤務より出張の方がより有効ではないか。
@ 自由に活動できる。
○ 派遣国以外への入国が可能。
○ 必要に応じた一時帰国が可能(システム化必要)
・ 緊急報告 ・ 現地邦人関係者への接触、面談
(2) 当庁職員は警備会社の社員ではない(週2〜3日の宿直場合により常直もある)。
また、3年間文書を起案しない生活になることもあるので、ノンキャリアもできるだけ領事での派遣をお願いしたい。
(3) 出張者の派遣国又は周辺国にできるだけ高位の外交官ポストをお願いしたい。
@ 不都合が起こった場合、各種特権の行使ができる。
A 入手資料等の保管する聖域として在外公館内の室を利用できる。
(4) 外交当局とは別個の安全かつリアルタイムな通信手段の構築が最重要である。
○ パソコン通信の利用(独自外発の暗号ソフト要)
(5) 対外情報収集コンセプト
@ 国内で対象国と関係を有する人物と接触、関係構築後その職員を派遣する(当然引き継ぎ等も行う)。
(注)あまり高いレベルとならない。
A 派遣期間の長期化と同一国内複数化を実施する。
B 特にアジアにおいて情報拠点への職員の長期派遣と共に、対象国居住の邦人を当庁の「通信員」として「採用」し、当庁職員が短期出張により情報を収集する。