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【ワシントン10日=共同】
重量十七トンの米大型衛星コンプトンの姿勢制御装置が一部故障し、将来、落下して被害が出る恐れが出てきたとして、米航空宇宙局(NASA)が、対策の検討を進めていることが十日、分かった。
制御が可能なうちに太平洋に落下させる案と、従来とは別の方法で制御するようコンピュータープログラムを組み直して飛行を続ける案が検討されており、NASAは今月中にも結論を出す方針。
衛星が制御不能な状態で大気圏に再突入した場合、破片が突入コースに沿った約千六百キロの範囲に落下するとみられ、NASAは安全最優先で対策を決めるとしている。
コンプトン衛星はNASAが一九九一年にスペースシャトルを使って打ち上げられた。高度四百五十キロの軌道を周回しながら宇宙のガンマ線を観測してきたが昨年十二月、姿勢制御に必要なジャイロスコープ(回転儀)の一つが故障した。
現時点では制御や観測に支障はないが、回転儀がもう一つ故障すると制御できなくなり将来、地上の予測不能な場所に落下する恐れがある。
NASAは、コンピュータープログラムの組み替えで、回転儀なしで衛星の位置や姿勢を安全に制御できるかどうか、解析を続けている。解析の結果、将来の制御に自信が持てない場合は、早急にハワイ南方の海上に落下させる計画だ。