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週刊ポスト3/17
追跡スクープ 新生オウムの「サイバーテロ部隊」はすでに防衛機密を盗んでいる！
上祐は全てを承知でやらせていた
高尾昌司と本誌取材班
オウム関連のコンピュータソフト開発会社が官公庁にまで触手を伸ばしていた事
件はあらためてオウムの不気味さを浮き彫りにした。
今回の警視庁公安部の発表は、まさに驚愕もの。彼らが受注していたのは、防衛
庁や文部省などの官公庁のほかに、ＮＴＴなど民間約８０社、約１００件に及ぶ
コンピュータの基本システムの設定。
とりわけ問題となるのは防衛庁関連である。オウムは下請け業者として、『ファ
イアーウォール』なるハッカーの侵入防止システムの設置にまで関与していたの
だ。このファイアーウォールには10か所の〃カギ〃があるのだが、当然オウムは
そのポジションを熟知することになり、内部サーバーへも入ることが可能だ。
つい先日も官庁のホームページがハッカーに乗っ取られる騒動があったばかりだ
が、この侵入防止システムを熟知していれば、陸自のコンピュータシステムの
ハッキングも可能だ。捜査関係者もいう。
「防衛庁は〃機密は別系統で扱っていて問題はない〃としているが、実情は違
う。水面下で善後策を審視庁に相談するなど、パニック状態だ」
実際、防衛人事、幹部の住所、各駐屯地の武器弾薬の種類・数などの装備状況
が、すでにオウム側に筒抜けになっている、という指摘もある。
「彼らはＮＴＴ、銀行、航空会社などのシステム開発にも関わっていて、顧客情
報など相当量の個人情報をすでに入手している。それから考えても、防衛庁情報
だけ盗んでいないとは考えられない」（前出・捜査関係者）
この他、航空会社の航空経路管理システムも手がけており、防衛庁のシステムな
どを含め、サイバーテロの危険性も指摘されている。
「驚いたことは家宅捜索で水溶紙が発見されたこと。一瞬で水に溶ける紙で、過
激派は急なガサ入れに備えて、組織機密は水溶紙に記録する。オウムも過激派と
同じ手法を用いているわけで、依然として国家との対決姿勢を維持しているとい
える」（公安関係者）
と同時に、官公庁や大手企業の情報を喉から手が出るほど欲しがっている第三国
が存在する。オウムがテロを起こさなくとも、その情報を売却、有事の際に利用
されたら…。
今回の警視庁公安部の発表に、オウム側は現在のところ沈黙している。しかし、
今回の捜査による押収物の大半は、１月に逮捕された野田成人幹部の関連車両か
ら発見されているのだ。しかも、車両からはソフト開発者たちの履歴名簿も発見
されているのだが、アレフ入会者リストと重複する個人名が少なからず存在して
いるという。
彼らは「Ｍグループ」を名乗り、総勢約４０人。うち約１０人は東大や京大など
の国立大出身。優秀であるうえに、破格の安値を売りものに、あるいは他人の名
刺を悪用し、受注を拡大させていった。
「しかも野田は彼らＭグループから逐一報告を得ていた。上祐も在監中に教団の
コンピュータ事業の責任者に〃パソコンの国民的普及と近未来の政治・経済の大
混乱という２つの要素をうまく予想し利用すれば、大変な飛躍がパソコン事業に
よってなされる〃という手紙を出している。Ｍグループの実態がオウムであるこ
とは疑いようがない」
捜査関係者もそう断言している。実態を隠し、各種データを盗み取っていたオウ
ム。それでも危険性はないといいはるのだろうか。
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