Tweet |
◆制御棒表示など原発で小トラブル続発
各地の原子力発電所などで一日、コンピューターの二〇〇〇年問題が原因となった可能性があるトラブルも相次いだ。いずれも重大な影響は出ていないが、「二〇〇〇年問題への対応は万全」としていた電力各社では、原因の究明を急いでいる。
福島県楢葉町の東京電力福島第二原子力発電所1号機(沸騰水型、出力百十万キロ・ワット)で一日午前九時ごろ、制御棒の挿入本数や位置などを示す制御棒位置指示系の故障を知らせる警報が鳴り、電光掲示盤の制御棒の位置表示が消えるトラブルが発生した。
指示系掲示盤の故障個所などを表示するためのエラー表示器も作動しておらず、その後の調査で、掲示盤などの画面表示を行う制御器基板の三つの内蔵時計の日付が「二〇三六年二月六日」となっていたことが判明。午後二時十二分に、日付を「二〇〇〇年一月一日」に修正したところ、掲示盤は正常に動き始めたという。原子炉そのものの運転に影響はなかった。
東電では昨年一月に、内蔵時計を交換。同三月には、同型の時計を用いて、二〇〇〇年問題に関する試験を行っていたが、その時点では問題はなかったという。
さらに、東電の柏崎刈羽(新潟県)、福島第一、第二原発(福島県)の三原子力発電所の事務本館で一日午前二時ごろ、原子炉の性能を見たり、技術上の検討のために炉心冷却水の流量や水温などのデータをホストコンピューターに記録するプログラムが作動しなくなった。いずれも原子炉の運転に影響はない。
東電によると、三原発では、二〇〇〇年問題で越年検査をした後の一日午前一時、同プログラムを停止させた。一日午前一時四十分ごろから立ち上げたところ、停止した。東電で二〇〇〇年問題との関連などを調べている。
また、北陸電力の志賀原発一号機(石川県志賀町)で一日午前零時過ぎ、事故発生の場合に漏れた放射線量を本社や通産省に伝える「SPDS計算機」が稼働しなくなった。施設周辺の五か所の観測局から十分おきに県庁などに送られる放射線観測データも表示されなくなった。同電力では「原子炉の運転には影響がない」としている。
資源エネルギー庁では「点検済みのソフトだったが、二〇〇〇年問題と関連する可能性が高い」として、原因を調べている。
一方、東北電力の女川原子力発電所(宮城県女川町、牡鹿町)では一日午前零時ごろ、施設の異常を確認するため、周辺の放射線量や海水温などのデータを集めるシステムの一部である「プロセス計算機検出器」で故障警報が鳴った。さらに、同八時ごろ、再び同じ警報が鳴った。いずれも約十分後に自動的に復旧した。原発の運転に影響はなかった。
同電力によると、計測したデータをコンピューター間でやり取りする通信システムに問題が発生したという。同電力で原因を調べているが、同様の警報は月に数回あり「二〇〇〇年問題に関連するものではないと思う」としている。
また、宮城県が施設周辺で放射線量などに異常がないかを監視するため設置する「環境放射線監視システム」の一部も夜間停止中の午前零時三十分ごろ、動作確認のため手動で起動しようとしたところ途中で停止した。通信ソフトの二〇〇〇年問題への対応漏れが原因で、午前八時三十分に回復、午後二時に動作確認を終了した。
◇
日本原燃(本社・青森市)の「六ヶ所高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター」(青森県六ヶ所村)では一日、運転制御・監視システムの制御盤の一部に「一九九九年一月一日」と誤った日付表示が出ていたことが分かった。同社で詳しい原因を調査中だが、誤作動による放射能漏れなどの危険性は全くないという。
日本原燃によると、このシステムには毎日午前七時二十三分に、「工程管理計算機」から時刻の誤差を修正するデータが自動的に送られているが、同日は三台の制御盤で誤表示があった。同社では昨年中に二〇〇〇年問題対策のシステムチェックを行っており、「一年前の日付に戻ることは全くの想定外だった」と話している。
(1月2日0:57)