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回答先: Re:察するに余りある書き込みでした 投稿者 ななしさん 日時 2000 年 2 月 20 日 01:45:21:
日本で初めてのコンビニエンスストアであるセブン―イレブン一号店が七四年五月に東京・江東区に誕生して、四半世紀がたった。その間、コンビニは、町中の歩ける距離にある手軽さと二十四時間営業の便利さが受けて全国で四万店にまで急成長した。そのコンビニが現在、熱い視線を集めている。年明けから、有力コンビニチェーンと銀行、商社、メーカーなどの提携が相次いでいる。背景には、様々な業界がコンビニの巨大な店舗網に着目し、電子商取引(e―コマース)の一大拠点にしようという狙いがある。コンビニの実力を検証した。(経済部 倉貫 浩一、西沢 隆之)
【◆ビッグバン】
二〇〇〇年は、コンビニ業界に“ビッグバン”が起きた年として記憶にとどめられるかもしれない。
一月六日、業界最大手のセブン―イレブン・ジャパンはソニーなど七社とともに電子商取引の新会社「セブンドリーム・ドットコム」の設立を発表した。セブンの鈴木敏文会長は記者会見で、「電子商取引を先導するドリームチームが結成された」を胸を張った。
業界トップの動きに触発され、六日後の十二日には、サンクスアンドアソシエイツなどがインターネットを利用したネットスーパー計画を発表し、翌十三日にもファミリーマートなどコンビニ五社が共同で電子商取引を行う計画を発表した。
さらに、セブンの親会社であるイトーヨーカ堂の銀行業への参入計画が浮上した。電子商取引には銀行が受け持つ決済業務を押さえた方が有利と見たからだ。東京三菱、さくら銀行などもイトーヨーカ堂の銀行設立を出資や役員派遣などの形で支援する考えで、コンビニを核とした電子商取引事業の参加に乗り遅れまいとする思いは強い。
【◆人気の理由】
なぜ、コンビニがこれほどまでに脚光を浴びているのか。
インターネットを使った電子商取引が日本でも爆発的に伸びるとの期待感が広がっており、その拠点としてコンビニが着目されているからだ。インターネットで商品の購入を申し込んでも、消費者が商品を受け取る拠点は欠かせない。
共働き夫婦が増え、宅配される商品を受け取ることができない家庭も増えている。さらに、クレジットカードの番号をインターネットで打ち込んで代金決済することに不安を感じる人は多い。コンビニは会社への行き帰りに二十四時間いつでも代金を支払い、商品を受け取ることができる「中継所」としての機能が期待されている。
コンビニは、こうした役割を果たすのに十分な実力を備えている。
主要なコンビニチェーンの店舗数はセブンが八千五十三店、ローソンが七千二百五十五店、ファミリーマートが五千四百九十店に達し、コンビニの店舗総数は約四万店に上っている。銀行(都銀、長信銀、信託銀、地銀、第二地銀)の本支店・出張所の総数一万五千か所、郵便局の二万五千か所、JR六社(東日本、東海、西日本、北海道、四国、九州)の鉄道駅の総数四千六百か所と比較すると、コンビニの店舗数の多さがわかる。
流通業界の中で、コンビニは情報技術(IT)革命への対応を早くから進めており、電子商取引の拠点に素早く変身できる可能性を秘めている。
中でも、セブンは約六百億円をかけて、本部と全国の店舗との間に衛星通信回線と大容量の電話回線による通信システムを整備している。本部と店舗は売れ筋商品の情報や陳列方法などの情報を、豊富な動画データを交えてやり取りすることができる。このため、コンビニの情報通信システムを活用すれば、ゲームや音楽のソフトの配信サービスを始めることができる。
通産省と経営コンサルタント会社アンダーセンコンサルティングの共同調査によると、日本の電子商取引の市場規模は二〇〇三年には九八年の約五十倍に当たる三兆千六百億円に急成長すると予測している。
このため、銀行、商社などは「コンビニを制するものは、電子商取引を制す」(大手商社幹部)と意気込む。
【◆課 題】
ただ、順調な発展を遂げてきたコンビニは現在、様々な課題に直面している。
売り場面積が平均百平方メートル前後と狭いコンビニは、陳列できる商品数が三千点弱に限られる。「コンビニの一日の売上高は優良店で平均六十万円まで上がっており、売り上げの拡大はすでに限界を迎えている」(コンビニ業界関係者)という。
新規の出店は続いており、コンビニ同士が売り上げを食い合うケースも多い。コンビニ業界の実態を調べている民間の調査機関によると、閉店数は八九年に約九百店だったのが、九八年には千九百店を超えている。電子商取引はコンビニにとって、売り上げ拡大への手がかりにしたいところだが、その前に激しい出店競争を勝ち抜かなければならない。
電子商取引を本格的に導入することになれば、巨額の設備投資が必要になる。大手のチェーンなら対応できるが、中小のチェーンは取り残され、コンビニ業界が勝ち組と負け組に二極化する恐れもある。
コンビニの事情に詳しい川辺信雄・早大教授も「コンビニがこのままの状態で売り上げを伸ばすのは難しく、曲がり角を迎えている。今後は、地方自治体や大学とも連携して、住民票や成績証明書を受け取ることができるようにするなど、サービスの質をもっと変えていくことも必要だ」と指摘している。
(2月19日22:31)