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◆MOX燃料データねつ造は96年から
【ロンドン18日=芝田裕一】関西電力高浜原子力発電所(福井県高浜町)向けウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の品質検査データねつ造事件で、英原子力施設検査局(NII)は十八日、製造元の英核燃料会社(BNFL)の燃料製造部門の管理体質を厳しく批判する報告書を公表、同社に対して業務体制の大幅改善を求める勧告を出した。報告書は、ねつ造が長期にわたって常態化していたことを指摘する一方で、「燃料の安全性には影響を及ぼしていない」と結論づけている。
日本に輸送済みの燃料について日本は英国への返還を求めているが、英側は多大な費用や輸送沿岸国の反発などを懸念して難色を示しており、今後、この返還問題が大きな課題となる。
事件が起きたのは、イングランド北西部の同社セラフィールド事業所内のMOX燃料製造施設で、一九九四年に稼働を始めた。報告書によると、九六年からねつ造が続けられていたといい、NIIは「管理体制の欠陥が、多くの従業員に品質保証記録のねつ造を許した」と厳しく断じている。またNII首席検査官は、BNFLが勧告された改善策をすべて満たさない限り、MOX施設の操業再開を認めないことを明らかにした。
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報告書が、製造済み燃料の安全性に問題はないとした点について通産省資源エネルギー庁は、「精査する必要はあるが、今回の問題は安全性でなく、品質保証データにねつ造があったという、信頼性の問題だと考えている」と語った。
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【BNFL社長が関電に謝罪】
関西電力高浜原発(福井県高浜町)で使うウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の品質管理データがねつ造されていた問題で、製造元の英国核燃料会社(BNFL)のジョン・テイラー社長が十八日午後、大阪市の関西電力本社を訪れ、「二十五年にわたる良好な関係を取り戻したい」と謝罪するとともに、経緯を説明した。この中でデータねつ造が発覚する以前の昨年九月、高浜原発3号機用の燃料棒にねじなどが混入され、不合格になっていたことを明らかにした。BNFL側は「社員が故意に入れた可能性がある」と認め、同社の悪質な作業ぶりが改めて浮き彫りになった。
BNFLの報告書などによると、同年九月七日、燃料棒二本の底にねじとコンクリート片のような異物が入っているのが見つかった。燃料棒には通常、燃料を焼き固めたペレットが詰められているが、「本来の作業工程では異物が入ることは考えられない」(BNFL)という。
当時、関電は不合格の燃料棒があることを口頭で聞かされただけで、異物の詳細などは知らなかったが、BNFLはこれをきっかけに外部の専門家に特別調査を依頼した。関電は「データのねつ造より悪質で、信じがたい」と、BNFLに社員教育や作業改善などを徹底するよう申し入れた。(2月18日23:48)
http://www.yomiuri.co.jp/newsj/ic18i113.htm