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回答先: 無断で住民の遺伝子解析 国立循環器病センター 投稿者 倉田佳典 日時 2000 年 2 月 03 日 20:16:51:
健康診断の受診者約五千人に対し、無断で遺伝子解析を行っていた国立循環器病センター(大阪府吹田市)と大阪大学医学部(同)の研究チームが昨年五月、米国の医学専門誌に投稿した論文の中で、「遺伝子解析に対するインフォームドコンセント(十分な説明と同意)を得た人についてだけ研究に登録した」と事実に反する記述をしていたことが、五日分かった。
同センターは「論文掲載までに時間がかかるので、その間に事後承諾が得られるという見込みで、このような記述をした。遺伝子と病気を関連付ける研究は世界的に競争が激しく、同意を得るというルールを軽視していた」と、不備を認めた。
欧米の専門誌は、論文が優れていても、インフォームドコンセントが不十分だったり、倫理委員会の承認を受けていなかったりした場合、掲載を拒否するのが通例。今回の論文も、「同意済み」と記述していなければ、掲載されなかった可能性が高い。
論文は同センター研究所の岩井直温免疫化学研究室長らが執筆。「ヒト・プロスタサイクリン合成遺伝子と高血圧」とのタイトルで、米心臓学会誌「サーキュレーション」の一九九九(平成十一)年十一月三十日号に掲載された。
室長らは、高血圧などの生活習慣病と遺伝子との関連性を解明するため、一般市民を対象にした遺伝子解析を計画。この際、平成八年五月から十年二月にかけて、同センターで健康診断を受けた約五千人の血液から分離、阪大で凍結保存されていた遺伝子サンプルを利用したという。
同センターによると、十年五月以降に再び受診に訪れた人に、「保存血を生活習慣病予防のための調査に提供してほしい」と順次説明し、同意書を取った。しかし「血液の特色を解明する計画」と説明しただけで、遺伝子解析であることは明確にしていなかった。