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アパートを出るとき、電化製品のコンセントをすべて抜いて、 ブレーカーをお
としました。 ガスと水道の元栓も閉めました。 玄関のドアに鍵をかけ、鍵を電
気のメーターの上に置いてきました。 また戻ってくるかどうか分からないから
です。
電車と新幹線に乗っているとき、やはり他人の目がものすごく気になりました。
こんな自分を嫌だなと思うけど、これが僕なのだからどうしようもありません。
新幹線を降り、また電車に乗ってこのホテルがある駅まで来る間に、 電車に
酔ってしまいました。 ずっとデッキにいて下を向いていたのが悪かったのだと
思います。 もどしてしまうまでにはならなかったけど、 この日記を書いている
現時点でもまだ少し気分が悪いです。 たぶんシャワーを浴びれば直ると思いま
すが。
このホテルがある街では、重そうな雲が立ちこめていましたが、 まだ雪は降っ
ていません。 でも、かなり気温が低いので、明日は雪が降るかもしれません。
この街でもこれだけ気温が低いのですから、 あの場所はかなり雪が積っている
と思います。 気温も氷点下をかなり下回っているでしょう。 やはりスキーウェ
アを買っておいて良かったと思いました。
明日持って行くものを整理するため、リュックから荷物を全部出し、 また
リュックに詰め替えました。 今日着た下着は手提げバックと一緒に捨てるつも
りです。 あの場所の駅までスニーカーで行って、駅のトイレで長靴に履きかえ
ます。 あの場所の駅のごみ箱にバックごと下着とスニーカーを捨てればいいと
思っています。
2本の白い縄を見ていると、明日、あの場所で死を選んだときを考えてしまいま
した。 もし僕が死んだら多くの方に迷惑がかかると思います。 公共料金の精算
はしていないし、アパートの部屋にあるベットや冷蔵庫などの 大きな荷物はそ
のままです。 家賃は滞納されるでしょうから大家から父に連絡が入ると思いま
す。 いつかある方がメールで教えてくれましたが、保険金の受け取りなどが 僕
になっている場合に問題があるそうです。 死んだら多くの方に迷惑をかけてし
まいますが、それも覚悟しています。
でも、僕は生きるか死ぬかまだ決めていませんし、まだ決められません。 すべ
ては明日決めます。
僕は、この100日間自分でも信じられないくらいに行動的でした。 自分が考えた
ことを実行に移すことができました。 僕が今まで何から逃げていたのかも分か
りました。 自分の弱さが分かりました。 自分自身が少しだけ分かったような気
がします。
これからコンビに行って明日の朝食のサンドイッチとミネラルウォーターを
買ってこようと思います。 その後は、シャワーを浴びて、なかなか寝つけない
でしょうけど、 できるだけ早く寝ようと思います。 できれば悪い夢は見たくあ
りません。
明日は約束の日です。
あと1日。
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今、朝の5時10分を少し過ぎたところです。 窓の外は真っ暗で何も見えません。
廊下からかすかに足音が聞こえてきました。 きっとホテルの従業員が見回りに
来たか、 早朝に仕事に向かう客でしょう。
これから、6時頃の電車に乗り、あの場所に行くつもりです。 朝早くに起きたの
でいい気分とはいかないけど、 とても落ち着いています。 悪い夢もいい夢も見
ませんでした。 ごく自然に起きてバスルームで顔を洗いました。
自分のやるべきことがはっきり分かっています。 ホテルをチェックアウトして
駅に行き、切符を買ってあの場所まで行きます。 あの場所にある駅に着いた
ら、国道を通り山道に入ります。 ダムの見える場所まで登り、その後は、まだ
自分でも分かりません。
ここのところずっと考えていたのですが、 もし僕が生きることを選択したとし
ても、 今後この日記は更新しないことにします。 このノートパソコンも、電車
の中でハードディスクをすべてフォーマットして、 人目につかない場所に置い
ていくつもりです。 僕のことを心配してくださった方には、 無責任だと言われ
ると思います。 確かに自分でも無責任だと思います。
今までいただいたメールはすべて読みました。 読んでいて涙が出るくらい嬉し
かったメールもありました。 日記を読んでくださった方には、本当に感謝して
います。
でも、あの場所で選択するとき、日記のことを気にして 生きることを選んでし
まいそうな気がします。 生を選ぶのなら、本心から「生きていたい」と思って
いることを 確認したいのです。 これからも生きていくとなると、苦痛を感じ
て、心の痛みを受け入れる強さを 持たなければなりません。 そうでなければ、
僕は変われないと思います。 自分を否定した僕のままで生きたくありません。
自分を少しでも肯定して生きなければならないと思います。
それは、僕にとっては、ものすごく大変なことだと思います。 死ぬよりも辛い
と思います。 だからこそ、自分自身で決めたいのです。 僕は生きるのか死ぬの
か。 日記を読んでくれた人のためではなく、自分のために。 本当はこんなこと
を書いては失礼だと思いますが、どうかご理解下さい。
時間がきました。 これからチェックアウトします。 今着ているスキーウェアの
ズボンがちょっと長めですが、 長靴を履けばちょうどよくなると思います。 現
時点では、生きるか死ぬか、本当にまだ決めていません。 僕はあの場所で決断
します。 僕の人生で初めての決断です。
それでは、行ってきます。