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スノブ及び肉体的反米主義者としての本多勝一氏
最新の「週刊金曜日」は創刊300号だそうで、6周年記念講演会の抄録が載ってい
る。
冒頭が、有名な本多勝一氏の
「英語」を世界語にしてはならない
というもの。内容は特に目新しいものはない。
大多数のアメリカ人やイギ リス人、そしてオーストラリアそ の他のイギ
リス語を話す人々は、 生まれながらにして「世界語」を 話しているわけ
です。
日本人を含めてその他の民族は、 限られた生涯のかなりの時間を、 そ
れのために何らかのかたちで非 常に苦労して学ばなければならわ いのだ
から、こんなめちゃめちゃ 不公平なことがあるかというのが、 私の疑問
の原点です。
英語をわざわざ「イギリス語」と言い換えて喜ぶ愚については、以前触れたので繰り
返さない。本多氏の議論に欠落しているのは、なぜ英語が実質的な世界語になってい
るのかという考察である。だからこそ本人が認めているように
今日お話しすることは、あと一 〇〇年といわずとも、三〇年で時 代錯誤
の化石人間が話しているよ うな内容になるかもしれません
ということになる。
もちろん
特別にイギリス語が論理的だということもないし、要するにほかの言語と
対等な一民族語にすぎません
というのはその通りだ。しかしながら、現実的にはどのような分野で仕事をしよう
と、英語で書かれた文章を無視することは、ますます無理になってきている。医学の
世界はそうだし、工学でも経済学でも、あるいは商業の世界でもそうだろうと思う。
逆に、このところの日本経済の地盤沈下でどうなっているやら知らないが、つい最近
まで日本語を学ぼうという学生やビジネスパーソン(これも英語だが)が世界のどこ
でも見られた。
結局、「世界語とは誰かが決めるという性格のものではない。実質的にそうなるとい
う意味だ」というのが、わたしの主張だ。
それ以上にわたしが驚いたのが、最後の一節だ。
ここへ来る直前に私は短期間、 アメリカ合州国のロサンゼルス周 辺に行
ってきました。合州国訪問 は三〇年ぶりです。実に久しぶり にアメリカ
式「英語」の発音のド シャぶりに見舞われたわけですが、 本当にわかり
にくい言葉ですね。 野蛮な言語ですね。
ここでわたしのページに詳しいかたは、以前私が本多氏の
本物のイギリス語の発音
云々に噛みついたことを思い出されるかも知れない。外国語を
わかりにくい
というためには、ある程度以上その言葉を知っていなければならない。そうでなけれ
ば、どの言葉も
ぺらぺら
としか聞こえない。
そのうえ野蛮な言語だと!
特定の民族語を
野蛮
だと決めつける思想はいくらでもあった。結局そのすべてが、特定の民族を不当にお
としめる民族差別だったことも歴史が認めるところ。
本多氏の暴言を読んで思い起こしたのが、ミュージカル(ひょっとしてこれも野蛮な
芸術?)マイフェアレディー。
テームズ川を超えたところから始まる英語の歪曲を嘆き、「アメリカやオーストラリ
アでは英語は滅んだ」と叫ぶヒンギス教授(だったと思うのだが、どなたかお教え下
さい)と、
本物のイギリス語の発音、
野蛮な言語
を喋喋する本多氏の区別が、わたしにはつかない。
結局本多氏の英語論は低級な教養主義と肉体的反米主義のアマルガムでしかない。こ
んな
野蛮
な発言をおとなしく聞いていられる編集委員とは、いったいどんな教養人たちなんだ
ろうか。
(1月30日記)