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防衛庁は二十九日までに、細菌など生物兵器に対する検知、防護方法の本格的な研究に二〇〇〇年度から着手することを決めた。
生物兵器は炭疽(たんそ)菌やボツリヌス菌などの病原体を直接ばらまいたり、砲弾、ミサイルなどによって敵に撃ち込むもので、化学兵器などと同様に不特定多数の殺傷を狙った兵器。
防衛庁・自衛隊では、陸自化学学校を中心に化学兵器や核兵器の検知、防護方法は研究してきたが、生物兵器については、「影響が持続する生物兵器を使用すれば、日本に上陸して侵攻してくる敵自身にも被害が出る」(陸自幹部)として、陸自衛生学校で被害が出た場合の治療方法など医療面に限った研究しか行ってこなかった。
しかし、九八年八月の北朝鮮のテポドン発射事件や、九九年三月の北朝鮮の工作船事件などから、ミサイルやゲリラによる生物兵器の使用に対する危機感が高まったことから、来年度に陸上自衛隊に研究本部が新設されることを契機に、本格的な研究に着手することにした。
具体的には、研究本部に所属する特殊武器研究官が中心となり、細菌などの検知、防護服、防護機材の開発や細菌の除去など生物兵器へ対処できる人材の育成などを行うほか、米国に要員を派遣して技術の習得に当たる。
研究本部は、陸自の幹部学校や化学学校、衛生学校など十三の学校の調査、研究部門を統合し、東京都練馬区と埼玉県朝霞市にまたがる朝霞駐屯地に設置する。
(1月29日14:40)