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【ニューヨーク28日=三浦潤一】
二十八日のニューヨーク株式市場が前日比二八九・一五ドル安と過去七番目の下げ幅となった背景には、この二月で景気拡大期間が戦後最長を記録するアメリカ経済の過熱状態が鮮明になり、今後、大幅な利上げが避けられないとの見方が強まってきたことがある。
この日発表されたアメリカの九九年の国内総生産(GDP)成長率の速報値は前年比4・0%となり、三年連続で4%台の高い成長を記録した。九九年第四・四半期(十〜十二月)の成長率も、年率換算で前期比5・8%に達した。持続的な成長が可能なアメリカの潜在成長率は3%前後と言われ、発表された伸び率は3%を上回ったため、市場ではインフレ懸念が一気に強まった。
また、同時に発表された雇用コスト指数(ECI)も、九九年第四・四半期は前期比1・1%の上昇となり、第三・四半期(七〜九月)の0・8%を大きく上回った。ECIは企業が従業員に給与などの雇用コストをどの程度、支払っているかを示し、インフレにつながるのかどうを占う指標だ。連邦準備制度理事会(FRB)のアラン・グリーンスパン議長が経済の実態を知る上で、最も重視している指標の一つといわれる。
一方、消費者物価、生産者物価とも九九年十二月は穏やかな伸びにとどまり、この日、発表された総合的な物価動向を示すGDPデフレーターも九九年は前年比1・5%と低かった。
しかし、グリーンスパン議長は「常に先手先手の金融政策を取る」と言われている。二月一、二日に開かれる金融政策の最高意思決定機関、連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決まるとの見方が支配的だが、利上げ幅は多くの市場関係者が予想する年0・25%ではなく、0・5%になるとの観測も出てきた。このため、市場関係者は、FOMCの決定を注視している。
(1月29日19:16)