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★もうかるのは○○○の弁護士だけ・・・訴訟社会米国の真実。
「身につけたままの衣類にこのアイロンをあてないで」。「このマントは飛行には使えません」。米国で売られている商品に珍妙な注意書きが目立って増えてきた。どれもこれも、「きちんと危険を表示しなかった」と消費者から訴えられないための予防策である。ミシガン州の市民団体「訴訟乱用監視団」は数年前から、注意書きの「傑作」を年ごとに発表してきた。ベビーカーに「赤ちゃんを乗せたまま折り畳まないこと」。携帯型マッサージ器には「就寝中の人には使えません」。コンピューター用のプリンターには「トナー(熱転写粉)を食べないこと」と警告し、冷房機には「窓から外に落下させないで」とわざわざ注意書きを添える。
監視団によると、こうした警告文のもとをたどると、ほとんどすべて、消費者から実際に起こされた訴訟に行き着くそうだ。10代の少年は、バスケット競技でゴール網に引っかかって歯を2本失い、ゴールメーカーを訴える。電子レンジで猫の毛を乾かそうとしたら死んでしまったと、飼い主が製造元を提訴。買ったばかりのコーヒーをこぼしてやけどした女性はマクドナルドを訴え、2億9000万円の賠償を認められた(後に減額)。
日本ならおよそ勝つ見込みのないそんな裁判でも原告勝訴で終わるのが米国の現実だ。訴訟の行方を決めるのは法律の素人である陪審団。原告の訴えに同情しがちで、被告企業に厳しい結論が出やすいことが背景にある。しかも、賠償金や和解金の額は近年、劇的に高騰している。米法律誌「ローヤーズ・ウイークリー」によると、昨年米国の裁判所で評決が出された民事訴訟のうち、個人への支払いを命じた賠償額の上位10件を合計すると約九十億ドル(約9000億円)に達した。前年の約3倍、2年前の約12倍である。ありとあらゆる不測の裁判に備えようとすれば、各メーカーともいささか過剰な警告を表示せざるをえないのが実情だ。(06:17)