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【ソウル20日=森千春】
朝鮮戦争当時、韓国中部・大田で、韓国軍・警察が政治犯を大量に殺害したという朝鮮戦争の暗部が明るみに出、波紋を広げている。事件の真相究明運動を続けている在米韓国人で元・耽羅大学講師の李道英氏が、米国の国立文書保管所で最近秘密解除となった関連文書を発見し、有力紙「韓国日報」が報じた。
この文書は、駐韓米大使館の駐在武官が、戦争ぼっ発三か月後の五〇年九月二十三日付で作成した報告で、「戦争が始まって以来、血なまぐさい処刑が行われてきた」とし、その具体例として、「大田での千八百人の処刑」が七月第一週に行われたと記述。
「ソウル陥落後、数週間」のうちに大量処刑が行われたとしており、北朝鮮軍が侵攻を続けていた同年七〜八月ころ、国内政治犯が北朝鮮側の勢力に加わることを恐れた韓国当局が、殺害した疑いが濃厚だ。
韓国日報は、同時に発見された、処刑現場と見られる写真も掲載した。
同紙によると、処刑された政治犯は、李承晩政権が社会主義者を管理するために組織した団体「国民保導連盟」に登録された左翼活動家が多数を占めると見られる。
李道英氏は十九日に記者会見で、大量殺害について、当時の韓国政権の首脳部の責任を究明すべきだと主張した。
朝鮮戦争当時、韓国当局が政治犯を大量殺害したという情報は断片的に伝えられてきたが、証拠記録の発見で、より信ぴょう性が高まった。