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◆プリペイド携帯、犯罪利用44件
電話番号から所有者を特定することが困難なプリペイド式の携帯電話が犯罪に悪用されたケースが、一昨年秋の販売開始以降、全国で四十四件も起きていたことが十七日、警察庁のまとめで分かった。この方式の携帯電話が使われた大阪の女児誘拐事件を受け、都道府県警を対象に調査していたもので、薬物取引や売春などで利用されるケースが目立った。こうした実態を踏まえ、同庁は同日、電気通信事業者協会と携帯電話会社四社に対し、今後は運転免許証などを使って購入者の身元確認を行うよう文書で要請するとともに、業界に対する指導を郵政省に申し入れた。
プリペイド式の携帯電話は、電話機とプリペイドカードを買えば、前払いしたカードの代金に応じて通話ができるという仕組み。一昨年十月に初めて売り出され、普及台数は約十三万台(昨年十一月末現在)に上っている。
一般の携帯電話と違い、身分証明証の提示などの加入手続きが必要ないことから、犯罪などに悪用される事態が当初から懸念され、昨年十二月に大阪府摂津市で小学二年の女児が誘拐された事件では、犯人が家族との連絡にこの方式の携帯電話を使った。同府警は、逆探知で電話番号までは突き止めたものの、所有者は割り出せず、犯人は逮捕されないままだ。
今回、プリペイド式携帯電話の使用が判明した犯罪四十四件の内訳は、覚せい剤取締法違反二十一件、売春防止法違反八件、詐欺六件など。昨年五月、大理石の柱に隠された覚せい剤約百五十キロが東京港に荷揚げされた事件で、密輸グループが相互の連絡用に使っていたケースや、同年九月、インターネット上にペット型ロボットを譲るという偽りの情報を流し、代金をだまし取ったとして警視庁に逮捕された会社員が被害者との連絡用に使っていたケースなどがある。
警察庁によると、このほかレンタル方式の携帯電話を使った犯罪も目立ち、昨年七月に中国人グループが東京都内の飲食店から現金や貴金属類などを奪った緊縛強盗事件などで、犯人同士の連絡用に使われていたことが分かっている。
携帯電話のレンタル業者は都内だけで十数社あるとみられているが、貸し出しの際に厳密な身元確認は行っていない業者がほとんどで、プリペイド式と同様、犯罪に使われた場合に実際の使用者を割り出すのは難しいのが実情という。
同庁では、携帯電話会社などに対する要請書にこれらのデータを添付。レンタル方式の携帯電話についても、今後は、携帯電話会社がレンタル業者と契約を結ぶ際に、利用者の身元確認をする条項を盛り込むことを求めている。
(1月17日19:57)