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南米・ペルー沖の海面水温が低くなる「ラニーニャ現象」が原因とみられる異常気象が、世界各地で多発していることが十一日、気象庁のまとめで分かった。同庁では、ベトナムや南米北部の豪雨、アフリカ東部の干ばつ、タイの寒波などが、ラニーニャ現象によるものと指摘している。この現象は今春まで続き、被害はさらに拡大するとみられる。
ラニーニャ現象は、同海域で水温が高くなる「エルニーニョ現象」とは逆の状態。最近では、一昨年十月から九九年三月まで続いて一時収まったが、三か月後の同年六月から再び低温状態が始まった。
ラニーニャ現象が異常気象をもたらすメカニズムは解明されていないが、過去の統計から、インドネシアやオーストラリアの多雨、アフリカ東部やアルゼンチンの少雨などが、ラニーニャ現象がもたらした異常気象とされている。
一昨年十月からの一連のラニーニャ現象の影響とされているのは、東南アジアからミクロネシアにかけての多雨(九九年三―四月)、南米北部の多雨(九八年十二月〜九九年二月、九九年九〜十二月)、アフリカ東部の少雨(九八年十二月〜九九年二月、九九年四月)など。
南米・ベネズエラでは昨年十二月の豪雨で死者・不明者が七千人以上にのぼる被害を受けたほか、アフリカ東部でも、干ばつによる食料不足で、餓死者が出るなどの被害が伝えられている。
日本では、ラニーニャ現象が起きた年は秋の気温が平年より低く、冬の降水量が多くなる傾向にあるが、これまでのところ、大きな影響は出ていない。
(1月12日0:19)