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1986年に大事故を起こしたウクライナのチェルノブイリ原子力発電所で、唯一いまも稼働している3号炉のコンピューター2000年問題への対応が不安を呼んでいる。原発側は「対応済み」として、31日から1月1日にかけても通常運転する予定だ。だが、米国をはじめ外国の専門家たちは「100パーセントの保証はない」と不安げで、同原発で働く外国人技術者の中には避難する動きが出てきた。
原発側によると、3号炉では運転状況の監視用に2つのコンピューターシステムが稼働している。1つは20年以上も前に当時のソ連が設計した古いもので、バックアップ用に西側の新型システムが追加された。2000年対応を調べたところ、一部に不具合が見つかり、必要な手当てを施したという。原子炉本体はアナログ方式で運転されているため、影響されないとしている。
外国の専門家が心配しているのは、監視システムが混乱した場合、通常の安全規定を無視して運転することになる危険があるためだ。「チェルノブイリ事故もそれが原因だった」と西側の専門家はいう。最新鋭の原発と比べ、チェルノブイリ型原発は事故が起きた際の安全対策が劣ることも、万一への不安を膨らませている。
現地の報道によると、使用済み核燃料貯蔵施設の建設で派遣されているベルギー人技術者が「大丈夫だといわれたが、安心できない」と、年末に現場を離れることを表明した。
チェルノブイリ事故の後、日米欧の主要国は同原発の閉鎖を求め、今年末までに全原子炉が停止されることになっていた。しかし、主要国が支援を約束した代替発電施設の建設をめぐって調整が難航し、ウクライナ側は3号炉の閉鎖を来年に先送りした。