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回答先: アフガン帰りグループ逮捕 ヨルダンでテロ計画容疑 ラディン氏の仲間? 投稿者 倉田佳典 日時 1999 年 12 月 16 日 18:51:34:
ロシア・チェチェン共和国の首都グロズヌイで15日夜、進入したロシア軍部隊がイスラム武装勢力に反撃され、多数の死者が出たとの西側メディアの報道に対し、ロシアのセルゲーエフ国防相は16日、「どんな首都大攻勢もなかったし、今後もない。情報による挑発行為だ」と首都突入を全面否定した。一方でこの日、AP通信が「ロシア兵の115の遺体を確認した」と報じるなど情報は交錯している。チェチェン攻撃を支持する圧倒的な世論はロシア軍犠牲者の少なさに支えられており、下院選挙の投票が19日に迫る中、ロシア政権側にとって「惨事」は不利に働きかねない。それだけに、政府や軍は報道の否定に躍起だ。
ロシア軍参謀本部のマニーロフ第1次長はこの日、一連の報道を「デマだ。一般住民が首都に残っている限り大攻撃はない」と非難した。ロシア連邦保安局のズダノビッチ情報センター長も「武装勢力側からの圧力を受けての報道だ。下院選を目前にして、政府に打撃を与える目的で仕組まれた」と否定した。ロシア国内のメディアも外国通信社の報道を転電する形で慎重に報じている。
マニーロフ第1次長は15日、チェチェンの武装勢力が今夏ロシア・ダゲスタン共和国に侵攻して以来のロシア軍側の犠牲者が400人に達したと公表。ロイター通信は15日夜の首都の戦闘でロシア軍側に「100人以上」の死者が出た模様と伝えており、これが事実だとすると、1日でこれまでの4分の1にあたる犠牲者が出たことになる。
1994―96年の前回チェチェン戦争では、ロシア軍に2万人以上の死傷者が出て世論の厳しい批判を浴び、事実上の敗北・撤退につながった。今回の攻撃では、当初から「前回の過ちは繰り返さない」(プチン首相)と強調。空爆や長距離砲などで激しい攻撃を加えたあとに地上軍を進攻させ、犠牲者を最少に抑える戦略をとってきた。
しかし、グロズヌイをめぐる攻防では、3万人とも5万人ともいわれる住民が残っているため、空爆にも限界がある。数千人と見られる武装勢力は市内各所にざんごうを掘り、拠点を築いて地上戦に備えているようで、首都解放作戦では大きな犠牲が避けられないと見られていた。
19日の下院選投票までに首都を攻略することは、政権側にとって「勝利」を有権者に印象づける大きな意義があるだけに、地上部隊の進攻に踏み切った可能性は否定できない。逆に、チェチェン側にとっては、投票日直前に「犠牲者続出」の情報を流すことで政権側に打撃を与える計算もあると見られる。投票日に向けて双方からの「情報戦」が強まるのは必至だ。