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警視庁は5日深夜、イトマン事件で商法の特別背任罪と
脱税の罪に問われ、大阪地裁で公判中に行方不明になっ
ていた不動産管理会社代表、許永中被告(52)を東京都
港区のホテルで発見、確保し、大阪地検の収監状に基づ
き収監した。身柄は6日朝、大阪地検に引き渡される。
許永中被告はイトマン事件の公判が大阪地裁で続いて
いた1997年10月7日、公判に出廷せずに行方が分から
なくなった。同年10月21日に同地裁から保釈取り消し決
定がなされ、検察当局が捜していた。
警視庁によると、許永中被告は滞在中の東京都港区の
ホテルに車で戻ったところを、警視庁の捜査員から「許永
中か」とたずねられたところ、うなずいたという。許被告は
東京都品川区の自称会社員金美佐子容疑者(38)と一
緒だったという。警視庁は金容疑者を犯人蔵匿容疑の現
行犯で逮捕した。
調べでは、許被告らは96年4月から10月にかけて、う
そをいって、東京の商社・石橋産業の関係会社「エィチ・ア
ール・ロイヤル」から額面合計179億円余の手形を石橋
産業の支払い保証つきで振り出させたとされ、東京地検
は97年11月、許被告の自宅や事務所など二十数カ所を
詐欺容疑で捜索した。
これらの手形は、名目の上では、東証1部上場の建設
会社「新井組」の株式1120万株の代金支払いのため振
り出され、京都市のノンバンク「キョート・ファイナンス」と検
事出身の大阪の弁護士に渡った。しかし、結果的に、新
井組株は石橋産業側に引き渡されず、手形の一部は取り
立てに回された。
許被告は暴力団や政財界との親密な関係をちらつか
せ、脅したり、すかしたりしながら、手形を振り出させたと、
石橋産業は主張している。
許被告は強制捜査を受ける前の1997年9月末、妻の
法要を理由に大阪地裁の許可を得て韓国へわたった。そ
の後、現地で体調を崩したとして入院したが、同年10月6
日、病院から姿を消し、行方不明になった。大阪地裁は保
釈許可を取り消すとともに、保釈保証金の没収を決定して
いた。(02:40)