精神科病院での身体拘束、日本突出 豪の599倍、NZの2000倍 https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E7%B2%BE%E7%A5%9E%E7%A7%91%E7%97%85%E9%99%A2%E3%81%A7%E3%81%AE%E8%BA%AB%E4%BD%93%E6%8B%98%E6%9D%9F-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%AA%81%E5%87%BA-%E8%B1%AA%E3%81%AE599%E5%80%8D-nz%E3%81%AE2000%E5%80%8D/ar-BB1eTDxd?ocid=msedgntp精神疾患の患者の体をベッドなどにくくりつけたりする「身体拘束」の人口100万人当たりの実施数が、日本はオーストラリアの599倍、米国の266倍に上るとの分析結果を、国際研究チームが英精神医学誌「エピデミオロジー・アンド・サイキアトリック・サイエンシズ」に発表した。チームの長谷川利夫・杏林大教授(精神医学)は「患者が地域で生活できる環境を整えるなど現状を改善すべきだ」と話す。 研究チームは、日本▽オーストラリア▽米国▽ニュージーランド――の4カ国を対象に、公開されている2017年のデータを用いて分析。精神科病院で身体拘束されている1日当たりの患者数を比較した。認知症の患者は分析対象から除外した。 その結果、オーストラリアは人口100万人当たり0・165人、米国0・371人に対し、日本は98・8人と大きく上回った。15〜64歳を対象に集計しているニュージーランドは0・0305人。日本の20〜64歳のデータと比較すると、日本(62・3人)はニュージーランドの2000倍以上との結果になった。実施数は4カ国とも地域ごとにばらつきがあるといい、日本では都道府県によって16〜244人もの開きがあるという。 日本では精神保健福祉法で、精神保健指定医が患者本人や他人を傷付ける恐れがある場合などにのみ、身体拘束を認めており、減らす取り組みを進める医療機関はあるものの、慢性的な職員の人手不足などを背景に多用されているのが実態だという。厚生労働省によると、19年6月末時点で精神科病院で身体拘束を受けている患者は1万875人いる。 経済協力開発機構(OECD)によると、人口1000人あたりの精神科病床数はOECD加盟国の中で日本は突出して多い。加盟国の多くは地域ケアの普及で「脱施設化」を進めているが、日本の遅れが指摘されてきた。 長谷川教授は「海外に比べて日本で身体拘束が多いのは、精神科病床が桁違いに多く、入院に頼った医療になっているからだと考えられる。まずは安易に身体拘束されている精神医療の実態を可視化すべきだ」と指摘する。 精神科病院 主に精神障害のある人を治療、保護する病院。日本の精神保健福祉法では、精神科単科病院だけでなく、精神科病床を有する病院と定義している。厚生省(当時)は1958年、精神科の病床に必要な医師数は一般病床の3分の1、看護師・准看護師は3分の2(現在は4分の3)とする事務次官通知を出し、精神科病床増設につながった。日本では、認知症患者が入院するケースがある。
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