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φ[No.330] 狂言誘拐事件の主犯はマスコミだ by SMAC博士 1999年10月27日
(水) 17時32分26秒 【この記事にレス】
「始めからオウムを陥れようとして計画した犯行」か「試験が嫌で逃げだした言
い訳にオウムをほのめかしただけ」か…。
拉致のストーリーだけを見てると、どうも後者の可能性が高いと思うんだけ
ど、6月のエレベーター内脅迫事件や頻繁にあったという無言電話のことを含め
て考えると、前者のような気もしてくる。
ここで不思議なのは、計画的犯行と衝動的犯行を比較した場合、あきらかに計
画的である方が重罪なのにもかかわらず、新聞やテレビでは、しきりに「オウム
に対する憎悪」「兄を殺されたことへの復讐」という動機を強調してること。普
通ならそういう報道の仕方は女子大生に対する悪意の記事になるんだけど、今回
に限っては、そんな出し方が美談のようになっている(忠臣蔵の討ち入りみたい
…)。
家庭裁判所がどんな裁決をするか、ちょっと興味があるね。
マスコミ報道に追従して、あれが計画的犯行であると仮定してみると、なかな
か込み入った計画だということになる。2ヶ月間のロングプランだし、途中で露
見してしまう危険がかなり高い。護衛なんて付けられちゃ、携帯で無言電話をか
ける際にも不都合が生じ、監視の目を盗んで犯行におよばなくてはならないの
で、難易度もはね上がってしまう。
さらに「オウムへの報復」という目的を果たすためには、警察の反応、マスコ
ミの反応も計算に入れておかねばならない。せっかく事件をでっちあげても、大
きく報道されなければ、オウム叩きには、つながらないのだ。もちろん警察はバ
カじゃないから、供述の矛盾をついてくるだろうし、ちょっとでも「狂言」の匂
いがすれば、メンツを考えてマスコミに発表しないかもしれない。
こうした不確定要素を多く含んだ計画は、協力者がいないと、なかなか成功し
ないはずである。しかし、実際は、まさに思惑どおりとなった。あまりにも見事
なお手並みだというしかないが、反面、彼女は単純なミスも犯している。それ
は、自分でクロロフォルムを吸っておかなかったこと(医大生だから入手は可能
だったろう)、最初の供述で「手足を縛られた」と供述してしまったこと(当
然、痕は残っていない。又、供述は後で「縛られはしなかった」に変わってい
る)、そして、解放場所に決めた名古屋へ直行しなかったこと、等である。
考えてみると、どれも致命的なミスであり、にもかかわらず成功したのは実に
不思議なことだ。彼女には協力者が居たと考えるのが普通だろう。結果的に見る
と、彼女に協力したのは、マスコミである。もちろん共謀の上での協力ではない
が、なんとか「オウムがらみ」の事件にしたいと考えるマスコミは、彼女のミス
を徹底的に隠し、ヒステリックな世論のバックアップで警察に圧力をかけると同
時に予断まであたえた。ここまでくると捜査妨害と言われてもしかたあるまい。
いや、今、共謀の上ではないと言ったが、父親の職業を考慮に入れると、その
線もありうるのだが、もちろん憶測に過ぎないし、彼への疑惑をうんぬんする
と、即「オウム擁護だ!」とヒステリックな反応をされる方々が多いので、この
線については、これ以上言及しない。
一部でささやかれた「公安調査庁の陰謀」説は、正直なところ私も最初疑った
ものだが、「拉致狂言露見」で消えたと言ってよいだろう。公安ならば、女子大
生と共謀せず単独で計画しただろうし、そうすれば前述のようなミスによる矛盾
も生まれなかったはずだ。
女子大生が単独で計画した犯行…という仮定で話しを進めてきたが、検証して
みると、この計画、かなり杜撰で「行き当たりばったり」の感が否めない。マス
コミの暴走という天の助けがあって、ようやく成功(と言っても最後はバレたが
…)したにすぎないのだ。そこでいっそうのこと、「計画的ではなかった」と考
える方が妥当ではないかと思う。追試当日の拉致狂言といい、「当日朝、思い付
いた」という供述(一部報道では「名古屋に向かうバスの中で考えた」というの
もある)、ほとんど何の準備もしていなかったことなどを考えあわせると、試験
が嫌で逃げ出した言い訳、いう結論が簡単に出るのではないだろうか。また、こ
と狂言拉致に関するかぎり、この結論に矛盾はない。
そもそも警察は、最初から「狂言」を疑っていたフシがあるようだ。事件直後
の週刊誌には「おどろくべきことに、捜査陣の中には『狂言』説を唱えるものも
いる…」とあり、その理由についても述べられていた。ところが記事はそのすぐ
後で、「だが、それはありえない」と断定している。警察としては「ただの悪戯
の可能性もあるんだから、そんなに騒がないでよ…」と言いたくてリークしたの
だろうが、どっこい馬鹿マスコミは、聞く耳を持っていなかったということだ。
だいたい警察は、薄々感付いていて、エレベーター内での脅迫事件について
も、たいした捜査をしていなかったように見える。報道にリークされる情報は極
端に少なく、容疑者らしき人物も浮かばない。周辺の学生に対する聞き込みも、
おざなりだったようだ。ところが、護衛をつけていながら、その隙を突かれて
(夏休みなので登校はないと考えていたらしい)拉致されてしまったものだか
ら、さあ大変! あっと言う間に主導権をマスコミに奪われてしまった。マスコ
ミはなんとしても「オウムがらみ」にしたいものだから、いくら警察が「狂言」
の可能性を流しても意図的に報道せず、時には前述の週刊誌のごとく、強い口調
で否定してみせる。警察はやむなく捜査体勢を強化しなくてはならなくなり、今
となっては無駄な経費を大量消費するハメに陥った。女子大生の方もマスコミに
「オウム戦線のジャンヌ・ダルク」扱いで、援護されるものだから、ついつい
「嘘でした…」とは言いづらい雰囲気になる。取り調べ官は「狂言じゃないの
か?」と真正面から尋問したりして、それをマスコミに知られると「可哀想な被
害者を『嘘つき』よばわりして、いじめた。松本サリン事件の被害者家族をいじ
めるのはオウム擁護だ」と、例のごとくメチャクチャな叩きかたをされかねな
い。
こうなると、捜査妨害どころか、マスコミによる「犯罪」行為と言っても良
い。一番の被害者は、休眠宣言にまで追い込まれたオウム教団(呼称使用禁止
中)と信者たちだろうが、女
子大生や警察も被害者に組み入れることができるの
ではないだろうか。
マスコミの犯罪的暴走がなければ、話しはグーンと単純になっていたに違いな
い。
「学業不振で、悩んでいるのに父親はオウムの事ばっかりで、ちっともかまっ
てくれない」と拗ねた娘が、脅迫事件をでっちあげて、お父さんの関心を引こう
とする。父親は、半信半疑ながら念のため警察に護衛をつけてもらうように頼
む。警察も、その程度の労はたいした負担じゃないし、松本サリン事件の被害者
家族に対する精神的ケアーの意味もあって、快く了承。この周囲の温かい処置に
味をしめた娘は、無言電話を自分でかけたりして「脅威」の補強をしだす。それ
で父親や母親は「娘がターゲットにされているのでは…」と不安になり、より以
上、娘を大切に扱うようになる。そうして甘やかされた結果、娘は落第しそうに
なり、追試の日にトンズラをかます。言い訳として「見知らぬ男に拉致された」
ことにするが、計画不備のため、追求されるとすぐに嘘だとバレる。大捜査線を
引くまでもなく事件は解決。女子大生がした事に犯罪性は薄いし、未成年でもあ
るので、起訴どころか書類送検もなし。警察は厳重注意だけで釈放する。娘は家
に帰ってから、行き過ぎた悪戯のお仕置きとして、父親からお尻を2〜300発
ぶたれて、泣く泣く反省。四方八方、ま〜るく納まり、めでたしめでたし。
とまあ、こんな顛末で終っていただろう。
マスコミは自分たちの目的だけのために、ほとんど事件性のない「わがまま娘
の悪戯」を大事件に仕立て上げ、勝手に大騒ぎしたあげく、オウムに無実の罪を
着せ、警察に余計な金を使わせ、読者・視聴者に偏った情報を流し、あげく女子
大生を「犯罪者」にしてしまった。それなのにいけしゃあしゃあと、「兄を殺さ
れたショックが大きかったのでしょう」とか「純真無垢な女子大生に犯罪を犯さ
せてしまうとは…いまさらながらオウムの恐ろしさを実感します」などとほざい
ている。彼女を罪に陥れた張本人が、いったいなにを言っているのか! 今すぐ
マスコミは、読者・視聴者、女子大生とその家族、狂乱取材で迷惑した他の松本
サリン事件被害者家族、警察、疑いをかけられたオウムと公安調査庁…それらの
すべてに謝罪すべきである。
ところで、「狂言だった」供述から3日たった。当初の警察発表では、
「動機について追求している」とのことだった。マスコミが決めつける「オウム
への復讐」といった動機を、警察はまったく信じていないということだろう。時
間的に見て、もうそろそろ動機の認定は出来ているはずだ。ほとんどの新聞は
「オウム憎し」と「勉強のことで悩んでいた」を並記し、どちらの発表になって
も、一応の面子は保たれるようになっているが、「勉強のこと」が動機と認定さ
れた場合、マスコミが主張してきたストーリーは総合的な意味で破綻する。女子
大生は「オウム戦線のジャンヌ・ダルク」ではなくなり、「幼稚な悪戯娘」と
なってしまうのだ。罪に問われても、名誉が損なわれなければ、まだ我慢もでき
るだろうが、書類送検された上、名誉まで傷つけられては、泣き面に蜂である。
今回の事件では「容疑者の事を悪く書かない」というのが暗黙の了解であるよう
だが、私の推理では、警察発表は動機が「勉強のこと」になるだろうと思ってい
る。さて、そうなった時、マスコミ各社はどんな記事を書くのだろうか? 小さ
な記事で簡単に紹介するだけにとどめるのか、それともまったく紹介しないのか
…。弁解めいたコメントをつけて、またまた恥の上塗りをするのか。ちょっとミ
モノである。
自分たちの暴走を認め、女子大生の起訴猶予を嘆願するくらいの記事を書く社
があれば、ちょっとは見直すのだが・・・そんな社はないだろうなぁ。