ブルガリアの政府を揺るがした超極秘プロジェクトの真相に迫る(Antonio Huneeus)

 
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投稿者 SP' 日時 1999 年 10 月 14 日 09:42:43:

 月刊『ボーダーランド』96年10月号より抜粋。


アントニオ・フネウス UFO研究分野に関する世界的な第一人者で、現在ニューヨーク在住のサイエンス・ジャーナリスト及びユーフォロジスト。今回は、1990年代にブルガリアで実行された、エイリアンとのチャネリングやサイコ兵器の開発の噂などを含む、軍が関係するトンネル発掘の作戦についてのレポートを寄せている
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 私の20年に及ぶUFO調査の中でもっとも奇妙な事件、それはブルガリアで起きた「ツァリチナ事件」だ。
 その事件について私が詳しい情報を得たのは、1994年にハンガリーで行われた国際UFO会議の席上。私はブルガリアのソフィアに行き、宇宙現象調査協会(FOCONI)の会長キリル・カネフに会い、彼から「ツァリチナケース・事実と記録:意見と仮説」と題した公式レポートをもらった。レポートには、同事件にブルガリア陸軍幕僚長ラドニュー・ミンチェフ将軍ら軍上層部も関与していたことが明記されている。事件の概要はこうだ。
 当時、ツァリチナという村を舞台に、暗号名「栄光作戦」という最高機密指令がミンチェフ将軍によって出された。作戦の目的は、古代ブルガリア皇帝の神秘の財宝を探すための長いトンネルを掘ること。だが、発掘の指示は軍の関係者によってではなく、民間の4人の霊能者によるものだった。
 しかも、その霊能者達は、「キキ」「ロロ」「ソレル」「シールド」「最高智者」などと自称するETらしき発信者と交信したといい、そのテレパシックな交信内容が発掘指令の引き金となったのである。実際、この作戦は1990年から2年間続けられ、国防省が招集した科学者から構成される「専門委員会」によって公表された。
 結論からいうと、この作戦での考古学的な発見は皆無に等しい。しかし、作戦実施中UFOが数回目撃され、コンタクティー達は、記号や予言的メッセージ等を受け取るという経験をしている。また、不可解な事件も発生している。参謀本部科学部長ナプラタノフ大佐の娘でコンタクティーである霊能者の1人マリーナが、この作戦の実施期間中に自殺したのである。その直後大佐は、国防大臣と検事総長に宛てた「告訴状」の中で、大佐は、サイコトロニック兵器(核兵器よりも危険なレプトン兵器)を使った実験の犠牲者だと訴えているのだ。
 ツァリチナは、首都ソフィアの南東、バルカン山脈の中に位置している小さな村だ。「ツァリチナ村の地底での謎の活動」について人々が初めて知ったのは92年の春。
 最初、トンネルに関することは軍の機密情報だったが、妙な噂が広まってしまい、この問題は国会でも論議され、ついには国防省の「専門委員会」の調査結果が公表された。トンネルと周辺地域に関する歴史学的、考古学的、地質学的、及び地球物理学的調査や、UFOやサイコトロニクスの研究レポートが明らかにされ、さらに、ナプラタノフ大佐の「告訴状」、92年10月16日に国防省で開かれた専門家グループ会議の議事録、事件の年表も含まれている。
 事の始まりは、ナプラタノフ大佐が霊能者シラコフに娘のマリーナを助けてくれるよう頼んだこと。マリーナが86年から鬱病の発作に苦しみ、「時々頭の中に誰か他の人の考えが入ってくる」と訴えていたからだ。シラコフはナプラタノフ家を訪ね、マリーナに対し「あなたはキキという暗号名の地球外文明から、地球のコンタクティーとして選ばれたのだ」と説明した。こうして、マリーナは「文明共同体」からのメッセージのチャネリングを始めることになった。
 もう1人、この事件で中心的役割を果たしたコンタクティーは、エリザベ−タ・ロジノバである。彼女は国防省の職員の妻で、別の「ロロ」と呼ばれるET組織からのメッセージを受け取ったと主張していた。
 国防省は、ロジノバに迎えの車を差し向け、ミンチェフ将軍の部屋で降霊会を行った。この会にはシラコフとエリザベ−タの夫も出席した。ナプラタノフ大佐の証言によれば、「将軍はロジノバが重要な情報をくれたと満足げにいい、彼女が描いた何枚かの絵を見せた。「ロロ」は財宝の存在を認め、さらに「財宝の探索、発掘に3日間くれた」という。
 大佐は娘のマリーナも財宝探しに加えるべきだとミンチェフ将軍を説得。結局、将軍はマリーナの参加を認めることとなった。
 こうしてコンタクティーのシラコフ、ドーラ・ペトロバ、マリーナの3人は大佐と共に現地へ向かった。ペトロバは「財宝から出るエネルギーを感じる」と主張し、その場所はすぐに特定された。将軍はすでに、『栄光』という暗号名の作戦計画を立てており、作戦にはディネフ少将率いる科学部隊の発掘チームが加わっていた。大佐が軍のエンジニアらが乗った車両部隊と共に現地に到着する頃には、現場には非常線が張られ、参謀本部と連絡するための無線局が設営されていたのである。しかし多くのトラブルが起きた。無線設備は高性能であったにもかかわらず、ほとんど聞き取れない状態だった。機械類も操作不能におちいり、特に水力装置に異常をきたしたのだった。
 ツァリチナプロジェクトの2年後に発表された「第1号議事録」からデータを拾ってみよう。まず、トンネルの掘削は最初に水圧銃を、後には爆薬を使って行われ、約600日を要したという。全長180メートル、深さは15〜20メートルに及んだ。委員会は、作戦実施中コンタクティー達によって行われたテレパシーによる交信内容もまとめている。
「ロジノバが『最高智者』などから受け取った情報によれば、現在地球は滅亡の危機に瀕している。地球を救うためには、その方法を特殊なテキストによって示した暗号を手に入れる必要がある。その秘密の場所はブルガリアに存在し、それを発見できるか否かはブルガリア人にかかっている。またその後の情報では、地中のある決まった深さのところに地球上初の人類(明らかに宇宙からの来訪者ということだ)が埋まっているとの情報もあった」
 さらに他のレポートには「最初の交信はキキと始まり、やがてロロ、ソレル、シールド、そして最高智者と交信するようになった」とある。コンタクティーの書き記したものには、「数字や占星術の記号や何らかの測定値の他に、古代ブルガリア語、アラビア語、インド語、南方中国語、古代北欧語などの文字が含まれていた」。だが、専門委員会の「評価」では、「いかなる歴史的価値も皆無である」と断定されており、「トンネルの中には、現在過去に関わらずどのような人間活動の証拠も残されていなかった」と付け加えられている。そして最終的に「ツァリチナの作業はただちに中止すべきだ」と提言している。
 一方、事件を調査したFOCONI(前出)のカネフ会長は次のように主張する。
「当協会はツァリチナ一帯での27件の異常な目撃事例を記録している。目撃者は26人で、UFOの目撃21件、ポルターガイスト2件、背の高さ30センチの青緑色の人間の目撃例1件などである。ツァリチ ナ地域での目撃は大部分が22時から24時の間に起きている」と。
 目撃事例の大部分は、この事件のあった1990年12月から翌年8月までのものだ。
 いったいこうした事例から何が分かるのか?
 ジョン・キールやジャック・バリーが書いた『ETによる心霊操作』の事例と同様に、ツァリチナ事件でもその関係者に有害な影響を及ぼした。ナプラタノフ大佐の一家にも思わぬ悲劇を引き起こしたのである。
 ET「キキ」からのメッセージを受け取っていた大佐の娘・マリーナは91年2月8日、10階のバルコニーから身を投げてしまった。公式には自殺と判定されたが、大佐は「心理的影響を及ぼすバイオセンサーという手段による殺人が成功したのだと確信している」と書いている。彼は、ミンチェフ将軍がいわゆる「レプトン兵器」の存在について以前に語ったのを聞いたことがあるという。レプトン兵器とは、旧ソ連によって開発された、素粒子レベルで精神に影響を及ぼすサイコトロニック装置で「核兵器よりも危険」といわれる武器である。
         ※
 大佐は、国防大臣と検事総長宛の告訴状の中で自分の娘の死の状況を述べ、その責任に関して4人の人物を非難した。その4人とは、霊能者シラコフとペトロバ、ミンチェフ将軍、そしてアタナソフ中佐である。大佐は、娘のマリーナは単に自殺したのではなく、心霊実験で計画的に自殺するよう仕向けられたのだと訴えているのだ。
「マリーナはテレパシーで、お前はあまりにも邪悪だから生きている権利がないといわれ続けた。彼女はテラスから飛びおりるように、あるいは毒を飲むように命令され続けたのだ。これで、心理兵器というものが確かに存在することが私には分かった」
 さらに、大佐自身も攻撃を感じたことがあると付け加えている。
「誰かが夜中に私を起こし、一晩中眠らせてくれない。稲妻のようなバイオフィールドによって攻撃され、表現できないほど堪え難い痛みに苦しみ、激しい頭痛にさいなまれたこともある」
 マリーナ・ナプラタノフは、本当にサイコトロニック兵器の犠牲者だったのだろうか?
 それは依然ナゾのままである。
 これまで、レプトンを使った兵器が実際に開発されたかどうか定かではない。だが、開発されたという噂は確かにある。イギリスで出版された『超能力者の挑戦、今後千年の兵器の恐怖と希望』の中で、デイビッド・シャックマンは「ジリノフスキーの西側諸国に対する無気味な挑発は、ロシアがエレプトンと呼ばれる、核兵器よりはるかに危険な、全世界を破壊できる兵器をすでに開発したと述べていることだ」と、言及している。
 むろんそうした見解に反駁する声もある。
 ロシアの兵器研究家、ゲオルギエフはレプトンの発生装置を開発したアレクサンダー・オハトリンについて「オハトリン氏はかつても今もこの装置をサイコトロニック兵器として使う意図は全くないのである」と断言する。
 また、全ロシア民間伝承医療研究センターの副所長である精神科医デミトリ・マーザは『スプートニク』誌のインタビューに答えてサイコトロニクスについて論じ、サイコテラー(心理テロ)の可能性を尋ねられて次のように答えている。
「むろん、電磁エネルギーや超低周波音の強力な発生装置を使って人間の精神に影響を与えることは可能だ。だが、それは心地よいとか不快であるといった気分的なレベルの問題であり、人の頭脳に具体的な指令を下すことまではできない」
 ツァリチナの事件に最終的な判断を下すことは難しい。
 改めてカネフ会長に最新情報の提供を依頼したところ、彼の回答は次のようなものだった。
 @ツァリチナ事件に関しては何ひとつ新たな情報はない。
 Aミンチェフ将軍は退役した。
 Bナプラタノフ大佐は95年2月13日ソフィア市内の橋の上から投身自殺した。
 −−大佐の自殺! やはり悲劇は続いていたのだ。
 万一あなたが、宇宙の謎を教えてくれる異星人と名乗る者からテレパシーによるメッセージを受けるようなことがあったら要注意だ。この事件の恐るべき結果……。メッセージの発信者は、本当は異星人などではないかもしれないのだ。



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