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噂の真相11月号コラム
“逮捕されたエリート公安庁職員の舞台裏事情
新聞は警察発表通り元職員の脅迫疑惑を報じたが、その裏には公安の言論封殺が”
「オウム新法=第二破防法」案の今秋の臨時国会上程が確実になり、すっかり息
を吹き返した感のある公安調査庁だが、その公調の元職員が9月末、ストーカー
行為で神奈川県警大船署に逮捕されるという前代未聞の事件が発覚した。
「大船署の調べでは、逮捕された野田敬生容疑者は昨年12月、好意をもってい
た同僚の女性とトラブルになり、同月30日付けで公調を依願退職したんです。
が、その後、この女性宅に6千回にわたって無言電話をかけたほか、脅迫文を送
り付けていたらしいんです」(大手紙社会部記者)
調べに対し、野田は一貫して容疑を否認しているというが、実は今回の野田の逮
捕は、公調が仕組んだものではないかといわれているのだ。公調の内情に精通す
るジャーナリストによると、被害者の女性は当初、警察に被害届を出すのに消極
的だったが、公調の上層部に何かと説得され、被害届を出したというのである。
このジャーナリストが語る。
「実は野田が在職中の昨冬、彼女とトラブルになった際に、公調の上層部は、彼
女の言い分だけを一方的に聞いて、スキャンダルが表沙汰になるのを避けるため
に野田に退職を迫ることで事を穏便にすませようとしたらしく、そうした上層部
の事なかれ主義の体質に対し腹に据えかねた野田は退職後、公調相手にリペンジ
に打って出たんだ」
実はこの野田という人物、東大在学中に国家公務員I種試験を7位でパス。法務
省に採用されたキャリアの中でも首席という、驚ぐべきスーパーエリートなのだ
が、そのリペンジもエリートらしく徹底したものだったという。ジャーナリスト
がさらに続ける。
「野田が辞めてからというもの、公調の幹部宅に無言電話が頻繁にかかってくる
ようになっただけでなく、なんとインターネットの複数のホームページに『取扱
注意・本庁幹部職員連絡先一覧表』と題された40人の職員録が流されたんだ。
このリストには長官以下、本庁の部長、課長、総括補佐、調査官クラスまで掲載
されており、全員の自宅から携帯、ポケベルの番号まで列挙されていたんだ。こ
のリストが流出してからというもの、幹部や調査官の自宅にはイタズラ電話が
ひっきりなしにかかってきて、パニックになったんだ」
だが騒ぎは、それだけでは収まらなかった。8月末には公調の海外出張や経費の
使途のデタラメぶりを幹部の実名入りで暴露した『お笑い公安調査庁』なる暴露
本が、そして9月20日にはオウム事件で露呈した公調の調査活動のいい加減さ
と、破防法改正を目論む公調の政治的意図を徹底的に暴露した『溶解する公安調
査庁』(ともに現代書館刊)が相次いで出版され、公調内部を震握させたのであ
る。前出のジャーナリストが語る。
「これら一連の波状攻撃にほとほと弱り切った公調は、野田がこれらの〃犯行〃
に関与していると断定し、徹底的な尾行・監視態勢に入った。野田のこれ以上の
動きを何としても封じ込めようと、恥を忍んで女性に被害届を出させ、警察庁に
泣きついた結果、野田が逮捕されたというワケだ」
一連の〃犯行〃に野田が実際に関与したかどうかは定かではない。が、1人の元
職員にこれほど振り回され、揚げ句の果てにオマワリに泣きつくという「スパ
イ」官庁の情けない脆弱ぶりが明らかになったことだけは確かだ。
やはりこのカイシャには「リストラ候補NO.1官庁」との形容がもっともふさわし
いようである。