正露丸(買ってもいい度 5)

 
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投稿者 Y.M. 日時 1999 年 10 月 07 日 03:40:19:

回答先: 「『買ってはいけない』は買ってはいけない」のスレッドです 投稿者 Y.M. 日時 1999 年 10 月 07 日 03:20:29:

デタラメを指摘されたら、マジに自己批判しなければ
正露丸
(買ってもいい度 5)

『薬は毒」の正論がもたらす誤謬
正露丸の大幸薬品は『週刊金曜日』のアンケートに、他社に比べて比較的長い反
論を回答している。というよりも『買ってはいけない』に書かれた誤りの指摘で
応じている。その指摘は『買ってはいけない』のズサンな内容を暴露してあまり
ある。これだけで同書がほとんど全面的にウソと勘違いの産物であることを示し
たと言ってもいいかもしれない。
まず見出しの段階で、生薬である正露丸を「恐るべき漢方薬」と、ド派手に誤認
しているのだ。なんともお粗末な……。どうやら成分表に注視するあまり、確認
もしなかったらしい。漢方薬は伝統的な中国の医術から派生した日本固有の薬品
の体系であって、同じ成分を使っていても生薬とは薬品区分が違う。生薬とは漢
方薬として複数の成分が組み合わされる一部分であり、動植物から抽出されるも
のだ。
それはともかく「薬というものはすべて一時抑えの対症療法であり、『薬は本質
的に毒』である」というフレーズに、『買ってはいけない』の薬品観のすべてが
凝縮されている。そうであれば、特定の商品を取り上げてまどろっこしいことを
書かずに、そもそも薬は全部毒なのだよ、と言えばもっとわかりやすい本になっ
ていたはずで、指摘されるような間違いも起きなかったのである。
たしかに薬品のほとんどは、一定の毒性によって効能が保たれていると言っても
間違いではない。作用(効能)も副作用(薬害要素)もひとしく薬理作用なの
だ。人体器官や病原菌に有効に作用する以上、副作用のない薬は効かないにひと
しいのである。
そして、『買ってはいけない』が力説するとおり、病因が人体の自然治癒力で克
服されないかぎりは、本来の健康はとりもどすことはできないのだ。とはいって
も、治癒力の回復を待つといいながら、身体のトラブルや疾病による症状を放っ
ておくというのは、危険な対処法である。
嘔吐が身体の防衛反応だからといって吐きつづければ、栄養をとれないまま衰弱
して他の疾病を併合する危険があまりにも大きい。食欲がないまま何も食べずに
体力が落ちてしまうと、自然治癒力が低下するのは誰にもわかることだろう。人
体の持っている自然治癒力とは、その人の体力と言い換えてもいいのだから。
炎症もそのままにしておくと、患部を切断しなければならなくなるまで悪化する
ケースがある。筆者の経験でも、夏場に水虫が悪化して足首から下が倍に腫れ上
がったことがある(無謀にも、水虫が悪化した時期に海水浴に行ったからなんだ
けど)。同じ症状で足首から先を切断した(鬱血した部分が腐敗)知人の友人の
話を聞かされて、真夜中にうろたえたのをおぼえている。
その時に筆者が使ったのは、たまたま部屋にあった炎症鎮静成分の入った湿布薬
(つまりサロンパス)だった。そいつをベタベタ貼るだけの思いつきの対処で、
とりあえず水虫による炎症はおさまってくれた。使い方はまったく用法どおりで
はないのだが、腫れを鎮静する対症療法としては理にかなっていたと今は思う。
以来、わが水虫君はなりをひそめている。
次の事例も筆者の体験で申し訳ないのだが、猫ノミに刺されたしつこい痒みは、
痒み止めの対症療法を抜きには考えられない。蚊に刺された腫れはすぐにひく
(ものの5分ほどだ)けれども、ノミの痒みは2週間ほど続くのだ。湿疹や虫剤
されもガマンできればそれにこしたことはないが、掻きむしってしまうことで雑
菌が患部に入る。雑菌に侵されてベロベロに腫れ上がった部分から膿んでしまう
と、回復にも時間がかかるしアザとなって残るのだ。
掻きむしった患部が半年も治癒しなかったのを経験して以来、筆者は虫に刺され
た個所は痒み止めで抑えるようにしている。
こうした対症療法を否定する『買ってはいけない』の薬品不要の論理は、同書が
得意の表現を借りれば「適切ではない」としか筆者には思えない。あんたは腫れ
や痒みにガマンできるのかと言いたい。と、つい話が脇道にそれてしまった。正
露丸の件にもどろう。

正露丸批判は、ほとんどが初歩的な聞違い
まずは、危険性を指摘された防腐剤のクレオソートである。
正露丸に含まれているクレオソートは、『買ってはいけない』が危険性を批判し
た電柱や鉄道の枕木などに使用されている日本工業規格クレオソート油ではな
く、日本薬局方クレオソートなのである。前者はコールタールを原料にした建材
用途の油製品で、後者はブナの木から得られる天然物質を精製・蒸留したもの
だ。
つまり、まったく別ものである「オソロシい化学物質」(じつは工業用)を持ち
出してきて、正露丸が危険だと書いているのだ。マトはずれというか、これは
100パーセントの間違いである。生薬である正露丸を発ガン性のある漢方薬と
言いなし、主成分もまったく別のものを批判した部分で全体の文章の9割が占め
られているのだから、この文章のほとんどは誤認とデマに終始していると言って
いいだろう。
フェノールとクレゾールが「内分泌撹乱物質」であるというのも残念ながらデマ
だった。フェノールとクレゾールは、一般正常人の体内にも代謝物質として存在
している。
さらに悪質なのは、病原性大腸菌O−157についての論及である。この部分は
下痢ということ以外には、正露丸への批判とはまったく関連性がない。最初から
最後まで、言いがかりなのである。
にもかかわらず、強引に抗生物質による「ベロ毒素の放出」の危険性を持ち出し
てくる理由は、じつは『週刊金曜日』の連載方法と『買ってはいけない』の編集
方針、つまり編集者と執筆者たちの職業意識の根本にかかわる問題点なのであ
る。といっても、その人のイデオロギーや生業のありかたをここで批判したいの
ではない。出版・編集・執筆にかかわる同業者として、どうにも不親切だと言い
たいのだ。これは彼(彼女)らの「やっつけ仕事」の結果である。
他の商品批判でも同様のことは数多く認められるが、『買ってはいけない』の執
筆者たちは、具体例をあげて批判するのではなくて、薬品や添加物をあらかじめ
「悪」としたロジックから演繹する。
このように先験的な結論から説く演繹法の記述は、文脈を前後させることによっ
ては具体性を装った帰納法へと姿を変えるので、たしかに縦横無尽に批判が展開
されているように感じられることもある。
だがそれゆえに、結論が先行した論理はそれが成立するために必要な筋書きをた
どって、必ず墓穴を掘ることになる。じつは、これは初歩の文章 作法なのだ。以
下、巧妙なレトリックの種明かしをしよう。
結論が急がせる記述は、どうしても数少ない(?)押さえどころの理屈(彼〈彼
女〉らが決めた結論)を何度も繰り返すことになる。まるで無味乾燥の文章の繰
り返しが、必要とする論拠を補強するためにか、それとも隙間のあいた行間を埋
めるためにか不必要な記述を生み、落ち着くべき結論をとんでもない錯誤に変え
てしまうのだ。つまり、行間を満たすために、空白の部分に本論とは別の話が入
り込むのである。これを蛇足という。
かくして、彼(彼女)らが言いたいこととは無関係の商品が例として、いわれの
ない罪状をあげつらわれることになってしまう。

ジャーナリズムの原則も逸脱
私たちが同書のページをめぐって感じるもの足りなさも、何度も繰り返される型
にハマった動かしがたい「結論」が原因なのである。これも政治的な煽動文章の
方法に多く見られる手法である。先に結論があれば、結論にいたるまでの道筋
を、巧妙なレトリシャン(『買ってはいけない』はけっこうドジだけど)が考え
る。
したがって、すべての薬品は毒物で、添加物は毒性と発ガン性の疑いがあるのだ
……と、常に結論が先に立つ。内容の当否は別にしても、およそ文章を書くこと
で生活している人のものとは思えない紋切り型で、ウイットの感じられない文章
術はどうにも疲れるが、それはまあいい。
煽動的でぎこちなさばかり目立つ救いようのない悪文も、飛躍の多い粗雑きわま
りない論理も、余裕のないイデオロギッシュな書きとばしも、じつは同じく狭い
価値観に支配された磐石の「結論」のゆえなのである。『買ってはいけない』を
読むかぎり、連載した雑誌の誌面や文章量の制約から、執筆者たちが本当に書き
たいことを表現できなかったのかもしれないけれども、必要な論述を大幅に省い
てしまっている反面、あまりにも余計なことを書きすぎているのが目につく。マ
トはずれな正露丸批判のページに割かれた病原性大腸菌O−157についての論
及こそが、まさにそれである。
このくだりはどう読んでも、書き手もO−157からベロ毒素を発生させる抗生
物質とは無関係と了解しているはずの正露丸が「下痢を止めようと(使う)抗生
物質」のように描かれてしまっている。書いた本人も無自覚のレトリックの詐術
である。レトリックの詐術にからめ捕られて、この点に関する大幸薬品からの掲
載削除と既刊本の回収の要望に、やむなく週刊金曜日編集部は居直っているよう
だ。
既刊本の回収という出版差し止めに近い要望には、出版人としては賛成できない
が、週刊金曜日編集部の開き直りは、およそジャーナリズムとは無縁な対応であ
る。事実を事実として認められない視点からは、事実は横っツラを通り過ぎてい
くしかない。
それはジャーナリズムの忌み嫌うべき闇のはずだ。ここまで書いてしまった以上
は、素直に誤りは誤りとして、明文化された反省があってしかるべきではないだ
ろうか……。
ちなみに、正露丸に含まれる日本薬局方クレオソートには、O−157を抑制
し、仮に感染しても腸の粘膜を保護する作用がある。だとしたら、正露丸は買っ
てもいいんではと恩える商品ということになるのだが、書いてしまった以上、
やっぱりひっこみがつかないんだろうか。
大幸薬品からの詳細な指摘にもかかわらず、週刊金曜日側の対応は生薬を漢方薬
とした間違いと、クレオソートを取り違えた誤記の事務的な訂正以外にはなく、
同誌を読むかぎり内部的にも自己批判的な総括はなされていないようだ。
自分たちの主張が事実をもって退けられると、イデオロギッシュな態度で開き直
る(筆者にはそう恩える)のでは、実りのある議論ま成立しないのではないだろ
うか……。商品の改善を働きかける「企業へのラブレター」というのも、嘘だっ
たのだろうか?

慌てた訂正も、巧みにすり抜けるだけ?
少なくとも13刷以降の『買ってはいけない』で、正露丸に関する記述が見出し
を含めて変更されているのは本書編集部でも確認できた。『週刊金曜日』誌上で
の謝罪に懲りたのか、巧みにクレオソートの有害性を印象づける文章に差し替え
られている。O−157についての記述も「『正露丸』のことではないが……」
と書き加えられている。
それにしても、書き換えたからといって無理は通らないのだ。正露丸イコール化
学物質というイメージを巧みに描く『買ってはいけない』は、化学物質過敏症の
患者さんが歯痛に耐えかねて、正露丸を歯につめたことがあった、という。
以前は正露丸を「漢方薬」だと思っていたはずの患者さんが、今回の差し替えで
は「大衆薬」だと思っていたことに変更されている。そう簡単に恩っていたこと
を変更されたのでは、この患者さんにしてみれぱたまらないだろう。
何も自分(三好氏)が間違ったからといって、他人の思い違いまで勝手に変更し
てしまっては「頭痛やめまいがし、吐き気までもよおし」た不幸な患者さんは救
われまい。
この患者さんというのは、それほど都合よく執筆者の判断だけで簡単に思い違い
が変更できる人なのだろうか?この箇所は変更するべきではなかったのだ。
これでは何となく文章全体がフィクションに思えてしまうゾ。
また、変異原性試験で20種類以上の生薬に「陽性反応が認められたという報
告」とは誰のどういう試験報告なのか、発ガン性の疑いがあるという以上、そこ
まで明らかにするべきであろう。私たちも調べがつかなかったから、ぜひとも知
りたい。(横山茂彦)

●『買ってはいけない』の論点●

正露丸の成分であるオウバク、カンゾウは発ガン性につながる変異原性がある。
クレオソートは皮膚刺激作用や呼吸器刺激作用があり、発ガン性も指摘されてい
る。「薬は本質的に毒」「下痢は本来、からだが消化吸収してはいけないものを
排泄するための防衛本能でもある」。むやみに止めることはよくない。




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