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回答先: 「『買ってはいけない』は買ってはいけない」のスレッドです 投稿者 Y.M. 日時 1999 年 10 月 07 日 03:20:29:
事実を書くなら全部書いてほしい
夢氷
(買ってもいい度 1・5)
編集部が問い合わせたところ、問題にされている夢氷ストロベリーは『買っては
いけない』が出版された時点で、合成着色料の赤色2号と赤色102号の使用を
やめていた。夢氷工房によると、この変更は『週刊金曜日』に夢氷の記事が掲載
された時点で、すでに決まっていたことだという。
したがって、ここで「夢氷」という製品について述べる意味はやや失われたのだ
が、ただタール色素の危険性について語る「買ってはいけない」の姿勢には問題
があると恩う。まず次の引用をから始めたい。
「赤色2号については、アメリカ食品医薬品局(FDA)が、0・003〜3%
の赤色2号を含む飼料をラット(実験用白ネズミ)に131週間投与したとこ
ろ、高濃度投与群では44匹中14匹に、対照群では44匹中4匹に、がんの発
生が認められた。そのためFDAは、『安全性を確認できない』として、赤色2
号の使用を禁止したのである。
ところが、日本の厚生省はこの実験データを受け入れなかった。実験では、期間
中に動物の約半数が死亡したり、動物を混同するなどのミスがあったと言われ、
評価しうるものではないと判断したからだ。そのため今でも赤色2号の使用が認
められている。
しかしFDAは、ミスなどがあったことも考慮した上で使用を禁止したのであ
る。厚生省も、消費者の健康を第一に考えるなら、即刻禁止すべきなのである」
引用したこの部分は、最後の「即刻禁止すべきなのである」というところを除け
ば、ほぼ事実を書いている。しかしここで問題なのは、『買ってはいけない』が
事実すべてを書いていないということなのだ。FDAの実験に疑間を抱いている
のは日本の厚生省だけではない。日本のみならず、ヨーロッパ諸国でも再度実験
が行われたが、発ガン性は認められなかったのである。したがって、日本、イギ
リス、フランスなど、30カ国以上の国で、赤色2号は今も使用されている。
だがカン違いしないでもらいたい、本書では、「だから赤色2号は安心だ」とい
う保証をここで与えたいのではない。そうではなくて、『買ってはいけない』が
事実を書くなら全部書け、ということなのだ。自分の主張にとって都合のいい事
実だけを選んで書くとすれば、それは一般人を自分の意のままに誘導しようとし
ているからに他ならない。『週刊金曜日』の人たちは、たぶん日頃から行政側の
情報公開の重要性を訴えているに違いないが、そのことの意義は一体なんなのだ
ろうか。もしも行政側が自分たちにとって都合のいい事実だけしか公表しないと
すれば、そこに行政側の意のままに一般市民を誘導しようとする意図を感じるだ
ろう。しかし『週刊金曜日』も、ここでまったく同じ手法を用いているのであ
る。
基本的には、それが「買ってはいけない」かどうかは、よそから強制することで
はなく、消費者がケースに応じて自分自身で決めることなのである。で、そのた
めにやらなけれぱならないことは、消費者が自分自身で判断できるために参考に
なるより多くの情報を公開することなのだ。
自分の主張に沿った情報だけを公開し、そうでないものを伏せておくことは、な
んのことはない、他人に対して自分の主張を強制しているのと同じことなのであ
る。考えようによっては、そういうことを企む人間の存在の方が、よほどコワイ
かもしれないのだ。
(佐藤貴彦)
●『買ってはいけない』の論点●
使用される赤色2号はその発ガン性の疑いからアメリカで使用禁止、日本でもほ
とんど見かけなくなった。タール色素であるこの添加物は発ガン性や催奇形性、
環境ホルモンが疑われ、じんましんなどのアレルギーを起こす場合もある。ほか
にも合成甘味料や酸味料、香料と化学物質を多く含む。