Tweet |
回答先: 「『買ってはいけない』は買ってはいけない」のスレッドです 投稿者 Y.M. 日時 1999 年 10 月 07 日 03:20:29:
何が何でも「発ガン性」にされてしまったパン
ヤマザキクリームパン
(買ってもいい度 2・5)
『買ってはいけない』における脅し文句は、主に二通りあるといってよい。ひと
つは添加物の大量投与による毒性を強調するもので、「ラットに××を××J与
えると×X%が脳細胞に損傷を受ける」という記述。しかしこれはヒトの体重に
換算すると、まさにトンデモない量を投与することになり、まったく非現実的で
あることが多い(たとえば味の素)。
そしてもうひとつは、「発ガン性の疑いがある」という脅し文句だ。これもじつ
はさまざまな姑息なテクニックを用いてむやみやたらと消費者を脅す。
その典型的なのがヤマザキ・パンに使用されている保存料のソルビン酸カリウム
である(ことわっておくが、ソルビン酸カリウムはパン以外にもあらゆる食品に
最も広く使用されている保存料である)。ソルビン酸カリウムについては、すで
に日垣隆氏が『文芸春秋』誌上で『買ってはいけない』のその悪質なテクニック
を暴露している。それは、「ソルビン酸カリウム」の代わりに「ソルビン酸」の
発ガン性報告(しかも皮下投与)を持ち出し、あたかも「ソルビン酸カリウム」
そのものに発ガン性があるような印象を読者に植え付ける、というものだ。その
うえ、これはさらに二段構えである。それは、ソルビン酸カリウムが変異原物質
であるという記述である。
変異原物質(mutagen)というのはどういうものなのか。『買ってはいけない』
から具体的に引用すると次のようになる。
「ソルビン酸カリウムは細胞の遺伝子を破壊する。国立衛生試験所(現・国立医
薬品食品衛生研究所)が、動物の培養細胞にソルビン酸カリウムをふりかけたと
ころ、染色体が切断され、また細菌のDNA(遺伝子)修復能力が失われた。こ
のような毒性を変異原性という」。つまり、遺伝子を破壊して突然変異を起こさ
せるのが変異原物質である。突然変異率を増加させるから、発ガン性に結び付く
に違いない、といいたいわけだ。しかし、これは非常に複雑な問題なのだ。つま
り変異原物質イコール発ガン性物質かというと、そう単純でもないのである。
この話のミソは、「培養細胞にソルビン酸カリウムをふりかけた」という部分
だ。(これはどのような物質に関してもいえることだが)細胞に直接ふりかける
のと、口から投与して消化吸収、代謝といった体内のプロセスを経るのとでは、
話がまったく別なのだ。それをそのまま細胞にふりかけた場合に変異原性がある
からといって、口から入って人体の代謝機構を経たときにもやはり変異原性を維
持しているとは限らない。またこれとは逆に、それ自体まったく変異原性を有さ
ないが、代謝によって体内で変異原物質に変化してしまう物質もある。これを前
変異原物質(promutagen)という(たとえばベンゾビレン)。
それでは、それが最終的に発ガン性物質であるかどうかはどうやって確かめれば
いいのか。
一番確実なのは、経口投与による動物実験である。そしてソルビン酸カリウム
は、この点に関してまったくシロなのだ。ラットのエサに5%混ぜて2世代にわ
たり1000日間飼育したが、結局ガンは発生していない。これ以上ストレート
な検証はない。もちろん『買ってはいけない』では、こういう安全性に肯定的な
実験報告には触れようとしない。
ここでは、なにも添加物の存在を何がなんでも弁護しようというわけではない。
そうではなくて、ここで非常に驚かされるのは渡辺雄二氏の巧妙な手口なのであ
る。まず、自分に不利なデータには触れないでおく。そして実際にはほとんど意
味のない培養細胞の実験によって発ガン性を印象づけ、その直後に、名前は似て
いるが別の物質の皮下投与の実験での発ガン性を強調する。こうして、発ガン性
がまったく報告されていないソルビン酸カリウムが、いつのまにか危険な発ガン
性物質ということになってしまうのである。
(佐藤貴彦)
●『買ってはいけない』の論点●
ヤマザキのクリームパンは、まさに食品添加物の権化。毒性の強い塩化アンモニ
ウムを含むイーストフードをはじめ、もっとも問題なのは合成保存料のソルビン
酸カリウムの持つ細胞の遺伝子への破壊作用だ。性質や毒性が同等のソルビン酸
の攻撃性は、ラットヘの投与で発生したガンにおいても明らかである。