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環日本海航路 既存航路の境港延長
境港と中国吉林省など北東アジア地域を結ぶ「環日本海定期航路」の開設構想に、新たな動きが出ている。新潟港と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、秋田港とロシア沿海地方を結ぶ定期航路が八月に相次いで開設。鳥取県は両航路の境港への延長を模索しており、十月に韓国江原道で開かれる環日本海圏地方政府経済協議会の最重要課題と位置付けている。
環日本海定期航路は、ロシア沿海地方や北朝鮮の港を使って、中国吉林省琿春(フンチュン)市と、束草(ソクチョ)市など韓国東海岸の港、境港とを結ぶ構想。琿春市を中心とする図們江(トモンコウ)地域は北東アジアの玄関口として、将来の経済発展が期待されているが、境港から貨物を運ぶ場合、既存の航路だと遼寧省大連市で一度陸揚げし、陸送しなければならない。県商政課は「環日本海的航路が開設されれば、大幅な時間短縮と運賃の節減につながる」とメリットを強調する。
境港にとって同航路の開設は長年の懸案であり、県や境港市、境港貿易振興会、境港管理組合などが中国を訪れた際、船会社に再三働き掛けてきた。
同航路をめぐる新たな動きとして八月二十日、韓国の東龍海運が新潟港−韓国・釜山−北朝鮮・羅津(ラジン)の定期航路を開設した。月一便の運航で、貨物船の最大積載能力はコンテナ百本(二十フィートコンテナ換算)。新潟県では中国から木製品を輸入している。
また、吉林省延吉市の延辺現通海運集団有限公司が八月二十二日、秋田港とロシア沿海地方のポシェット港を結ぶ直行の定期航路を開設。コンテナ百十本(同)を搭載できる貨物船で月三便運航し、秋田県は中国から主に山菜や木製品を輸入している。
鳥取県はこれまで、環日本海定期航路を新規に開設する方向で誘致活動を進めてきたが「吉林省と国内を結ぶ既存航路を境港まで延ばしてもらうことも選択肢の一つ」(県商政課)としている。
神戸税関境税関支署の調べによると、境港の平成十年の輸出入金額は五百七十五億二千八百万円で前年に比べ三・五%減少したが、対岸諸国向けは百七十七億千七百万円で六・一%増加。環日本海定期航路の開設が実現すれば、経済交流のさらなる拡大が見込まれる。
環日本海諸国との経済交流をめぐっては、韓国江原道で十月九日、環日本海圏地方政府経済協議会が初開催される。県は「環日本海定期航路を実現するには、貨物を確保するため中国、ロシアなど相手国の協力が必要であり、県としては航路開設を最重要課題として協議会に臨みたい」としている。
日本海新聞