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◎本格的軍事衝突は回避か 印パ、哨戒機撃墜事件で
【ニューデリー12日共同】インド軍による10日のパキスタン
軍の対潜哨戒機撃墜と、翌11日に起きたパキスタン軍のインド軍
戦闘機へのミサイル攻撃の結果、双方の軍が「厳重警戒態勢」に入
るなど、両国関係が再び緊張している。
カシミール問題などをめぐり長年続いた両国の相互不信の根強さ
をあらためて示したが、7月にカシミールでの大規模な軍事衝突が
終息したばかりで両国に「戦争疲れ」の色も濃く、今回の事件は本
格的な軍事衝突には発展しないとの見方が強い。
パキスタン軍機が実際にインド領空を侵犯したのかなど、両国の
主張は真っ向から対立しており、機体の残がいも、大部分はパキス
タン側に落下するなど、真相究明には時間がかかりそうだ。
インド側が撃墜という強硬手段に訴えた背景には、9、10月に
総選挙を控えたバジパイ・インド人民党政権が国民向けに弱腰の姿
勢を見せられない立場にある一方、カシミール地方でパキスタンの
武装勢力の大挙侵入を許してしまった負い目を持つインド軍が、パ
キスタンからの「再侵入」に神経をとがらせていたという側面もあ
りそうだ。
翌11日にパキスタンが領空侵犯を試みたインド軍機に地対空ミ
サイルを発射したと発表したのも「インドにやられるだけではシャ
リフ政権やパキスタン軍の立場がなくなる」(イスラマバードの軍
事筋)との思惑もあってのことだったとみられる。
米国など主要国は今回、両国にほぼ対等の距離を置いて自制を求
めており、インドに同情的だったカシミールでの軍事対立とは立場
の違いを見せている。
ニューデリーの西側軍事筋は「インド軍や政府内では、公式には
認めないものの、撃墜は行き過ぎだったという反省ムードも出てい
る」と指摘、衝突の激化には否定的な見方を示した。 (了)
[共同 8月12日] ( 1999-08-12-14:52 )