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東ティモールの独立をめぐる住民投票後、東ティモール西部のスアイ地区で、イン
ドネシア国軍の兵士と残留派民兵らが、教会に避難していた住民に銃を乱射、約
600人が死傷していたことが25日、西ティモールのクパンに逃れた避難民らの
証言でわかった。国軍と残留派民兵による組織的な虐殺の一端が明らかになった。
住民投票の結果が発表されて2日後の6日午後2時ごろ、スアイ地区の教会を、国
軍兵士と民兵組織「マヒディ」などの計約200人が取り囲んだ。教会内の修道女
の家にいた運転手の男性(50)が窓越しに見たところ、「殺せ」というインドネ
シア語の叫び声に続き、民兵らが教会に向け発砲。一部が教会に入った後、さらに
発砲が続き、手りゅう弾が爆発する音も聞こえた。
教会にいたジャワ島出身の神父が外に出され、後ろを向くよう指示された。その背
中を、国軍の肩章をした兵士が自動小銃で撃ち、殺した。教会にとどまった別の2
人の神父も殺された。教会には約3000人が避難しており、うち約600人が死
んだり、けがをしたりしたという。死者が何人かは、わからないという。
教会近くに住んでいた医師によると、死体は同日午後7時ごろ、兵士らが教会から
運び出し、海に捨てた。運転手の男性は神父を殺した兵士に、国軍の地方司令部へ
行くよう言われた。そこで医師とともに西ティモールへ去るよう指示され、州都の
クパンまで避難したという。
この事件は発生当時、バチカンのMISNA通信が「カトリック司祭3人を含む約
100人が残留派民兵によって殺された」と伝えた。だが国軍兵士が関与したこと
など、詳細はわかっていなかった。
(20:26)
国軍の銃乱射事件でインドネシア大が調査チーム
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ジャカルタ中心部で24日夜に国軍兵士が銃を乱射、国立インドネシア大学生ら2
人が死亡した事件で、インドネシア大は25日、事件の真相を究明するための調査
チームを学内に設置することを決めた。国軍はスドラジャト報道官がラジオ番組で治
安部隊の発砲を認め、謝罪した。しかし、学生たちの怒りはおさまっていない。学生
組織や人権団体からは、ハビビ大統領、ウィラント国防相兼国軍司令官の辞任を求め
る声も上がり始めた。大規模な抗議行動に発展すれば、治安当局との再衝突も予想さ
れる。
前夜の銃乱射で射殺されたインドネシア大生は工学部のヤプ・ユンハップさん
(21)。目撃者によると、午後9時ごろ、ジャカルタ中心部のスディルマン通りわ
きでほかの学生や市民といたところに国軍のトラックが通りかかり、いきなり銃を連
射されたという。ほかに10歳ぐらいの少年が撃たれて倒れていたが、身元は確認さ
れていない。
インドネシア大は同大法学部の中に事件調査チームを設けることを決め、国軍に事
情説明を求めている。
スドラジャト国軍報道官は国営ラジオの番組で「事件を深く遺憾に思う。国軍と国
家警察にかわり謝罪する。徹底的に捜査する」と語った。また「(乱射は)2日間に
わたる過酷な警備のストレスによる行為ではないか」と話した。
学生たちは朝から、黒いリボンの喪章をつけて、事件現場近くのアトマジャヤ大学
やインドネシア大学キャンパスを訪れ、ユンハップさんの死を悼んだ。「ウィラント
はけだものだ。国軍兵士には人間の心はない」と怒りに声を震わせる者もいた。
午後4時、アトマジャヤ大学に集まった学生数100人が追悼集会の後、国会に向
け行進を始めた。(20:22)
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