Tweet |
家畜に新米を回すのかい。
◆農水省、新米備蓄30万トン上乗せへ
農水省は十七日、豊作が見込まれる九九年産の新米のうち三十万トン
を、主食用市場に出回らないようにする方針を固めた。新米価格の下落傾
向に歯止めをかける狙いで、第三回自主流通米入札が予定されている二十
八日までに発表する。九九年産米の政府買い入れ予定数量に三十万トンを
上乗せするか、新米そのものを飼料用に振り向けるかをめぐり、自民党な
どと最終調整している。政府が買い入れた場合でも、最低一年間は備蓄さ
れるため、この三十万トンは新米市場から“隔離”される形になる。
農水省は、「この機会に豊作や凶作に左右されないシステムをつくり上
げる」としており、二〇〇〇年産以降も、作況指数一〇〇(平年作)を上
回った場合のコメ需給調整の手法とする方針だ。
九九年産米の政府買い入れ数量は、国産米在庫の拡大を防ぐ観点から、
九九米穀年度(九八年十一月〜九九年十月)の政府米販売実績から自動的
に算出するルールがある。食糧庁によると、現在の販売ペースで推移する
と、政府買い入れ数量は前年より五万トン少ない二十五万トンになる見通
しだった。
さらに三十万トン上乗せすると、政府米在庫が膨らむため、全国農業協
同組合連合会(全農)がそれに見合う三十万トンを政府米在庫から購入
し、家畜用の飼料米に転用する。飼料用に回されるのは、売れ残っている
九五年の古古米が中心とみられるが、新米を充てる可能性も残っている。
これに伴う生産者の差損負担に対し、農水省は生産者拠出による新たな
基金を提案しているが、一定割合の財政負担には応じる方針だ。
九九年産米の作況指数(八月十五日現在)は一〇三の「やや良」とな
り、先月末に行われた第二回自主流通米入札では、先安感もあって上場数
量の約四割が売れ残ったうえ、平均落札価格も前年同期比9・9%の値下
がりとなった。
一方、農水省は、二年連続の過去最大の生産調整(減反)に伴い、来年
十月末の国産米在庫量は百八十九万トンに減少すると見込んでいたが、コ
メ消費の低迷もあって、現時点では適正在庫の上限(二百万トン)を上回
る二百六十万トンに修正している。
(9月18日6:16)