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◎遺伝子で脳の老化を回復 サルで実験、人に応用へ
【ワシントン13日共同】神経成長因子の遺伝子をサルの脳内に
注入し、老化のため委縮した脳神経細胞を若返らせるのに成功した、
と米カリフォルニア大サンディエゴ校のマーク・チューシンスキー
准教授らが14日付の米科学アカデミー紀要に発表した。
脳細胞が若返った結果、思考力や記憶力が回復したかどうかの実
験は今後行うが、同チームは人間のアルツハイマー病などの治療に
応用可能とみて、臨床試験の実施を米食品医薬品局(FDA)に申
請した。
同准教授らは、人間なら60−70歳に相当する20歳代のアカ
ゲザルの脳を詳細に調べ、老化の結果、脳の前脳基底核と呼ばれる
部分の神経細胞の数が若いサルの60%ほどに減り、大きさも1割
程度委縮していることを発見した。
そこで、神経を成長させる効果がある神経成長因子の遺伝子を組
み込んだサルの皮膚の細胞を培養して増やし、脳に移植した。する
と、約3カ月後には神経細胞の数が若いサルと同等にまで回復、委
縮もほぼ解消したことが分かった。
同准教授は「脳の老化を回復できる可能性を示しており、人への
応用にも期待が持てる」と話している。 (了)
[共同 9月14日] ( 1999-09-14-10:11 )