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◎情報衛星、国産か輸入か 日本の「安保離れ」警戒
「日本が独自性を強めている兆候であり、注視する必要がある」。
米国の情報機関を統括する米国家情報会議(NIC)は今年6月、
「変わる日本の戦略」と題する報告書をまとめ、日本による情報収
集衛星の自主開発に警告を発した。
米政府は表向き、日本の自主開発を容認する姿勢を見せているが、
軍事産業からの圧力もあり、米国製の衛星購入を「水面下で強く働
き掛けている」(日本政府筋)という。
日本政府は米国の要求を受け入れる形で、一部高性能部品の輸入
を検討しているが、国産にするか輸入かをめぐり、日米間で政治問
題化する恐れが出ている。
日本政府は昨年12月、情報収集衛星を2002年度をめどに導
入する方針を閣議決定。今年4月には自主開発を正式に決めた。
NICが指摘した日本への懸念は、米メディアも取り上げ始め、
米紙ワシントン・ポストの外交コラムニスト、ジム・ホーグランド
氏は日本は国産衛星などを通じ「自主防衛に向かっている」と論評。
ロサンゼルス・タイムズ紙も、国旗国歌法制定などと合わせて日本
のナショナリズムの高まりや「安保離れ」に警戒感を示した。
斉藤邦彦駐米大使は「日本が自分の役割を果たせば果たすほど、
日米関係は強化される」と反論する。
コーエン米国防長官は7月に「米国の技術はどこよりも優れてい
る」と述べ、衛星の輸入を求める考えを示唆。ロッキード・マーテ
ィン社などは5月に訪米した額賀福志郎前防衛庁長官らに米国製の
輸入を売り込むなど、自主開発阻止に動いている。
在米の軍事専門家は「冷戦終結後の米国の軍事戦略は情報の独占。
日本が解像度の高い衛星を独自に保有することに不快感を持ってい
るのは間違いない」と指摘する。(ワシントン共同) (了)
[共同 9月10日] ( 1999-09-10-14:11 )