Tweet |
◎ナチス科学者を受け入れ 第2次大戦直後の豪政府
【シドニー16日共同】16日付のオーストラリア紙シドニー・
モーニング・ヘラルドは、第2次大戦直後、オーストラリア政府が
敗戦国ドイツから、ナチス関係者を含む科学者や技術者を極秘に迎
え入れ、自国の科学技術部門の開発に協力させていたと伝えた。
同紙によると、政府公文書館で公開されたナチス関係書類などの
調査で明らかになった。当時のチフリー労働党政権は1946年末、
旧ドイツの優秀な科学者や技術者らが旧ソ連に渡らないよう防止を
求める英国の勧告に従い、ドイツ人科学者らを迎え入れ、科学技術
の振興を図ることを決定。
51年までに受け入れ総数は127人に上った。科学者らは政府
機関だけでなく、民間企業の研究所にも送られたが、報道陣との接
触は厳禁されるなど、その存在は秘密とされた。
移住してきた科学者らのうち約4分の1が、ナチス親衛隊や突撃
隊などナチス党員で、大戦中、ユダヤ人虐殺に使われた毒ガスなど
化学物質の研究、さらに兵器、航空機・ロケット開発などに取り組
んでいた者もいた。
大戦中、オーストラリアは連合国軍側に立ち、欧州戦線で旧ドイ
ツ軍と戦ったオーストラリア人兵士も多かっただけに、当時の政府
の「背信行為」に批判も出そうだ。 (了)
[共同 8月16日] ( 1999-08-16-16:19 )